混合性結合組織病(MCTD)、オーバーラップ症候群|膠原病④

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は混合性結合組織病(MCTD)、オーバーラップ症候群について解説します。

 

古川福実
高槻赤十字病院

 

 

Minimum Essentials

1混合性結合組織病(MCTD)はSLE、全身性強皮症、皮膚筋炎の臨床症状のうち2つ以上を併せ持つまれな病態である。

2MCTDは、内臓病変として肺高血圧症の頻度が高い。抗RNP抗体陽性となる。

3オーバーラップ症候群は、同一患者に2種類以上の診断確実な膠原病の病像が、同時に、あるいは経過中にみられる。今日ではMCTDはオーバーラップ症候群の一型と考えられている。

4治療・予後は疾患別あるいは程度や侵された臓器によって異なる。

 

混合性結合組織病、オーバーラップ症候群とは

定義・概念

混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)

SLE、全身性強皮症、皮膚筋炎の臨床症状のうち2つ以上を併せ持つ病態。

 

オーバーラップ症候群

同一患者に2種類以上の診断確実な膠原病の病像が、同時に、あるいは経過中にみられるものとされる。単独の膠原病に比べ重症である。

 

原因・病態

原因は不明であり、病態は多臓器に及ぶ可能性がある。

 

 

目次に戻る

診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

MCTDではほとんどの症例でレイノー現象がみられ、手指のソーセージ様腫脹(図1)もよくみられ、足底には凍瘡様皮疹(図2)が出現する。内臓病変として、肺高血圧症の頻度が高い。

 

図1 手指のソーセージ様腫脹

指先の萎縮や指の硬化を認め、全身性強皮症に似る。

手指のソーセージ様腫脹

 

図2 凍瘡様皮疹

SLEにみられるしもやけに似た皮疹。

凍瘡様皮疹

 

オーバーラップ症候群は、組み合わさった疾患の症状が出現する。

 

検査

MCTDでは抗RNP抗体が陽性となる。強皮症と多発筋炎が重複(オーバーラップ)した場合には、抗Ku抗体(抗核抗体の一種)が陽性となる。

 

 

目次に戻る

治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

治療はもっとも顕著な症状や予後を左右する臓器症状に着目し、その重症度に応じ、個々の膠原病の一般的治療方針や看護方針に従って決定する。MCTDは厚生労働省の指定難病であり、医療費の公費負担制度があるので、診断がついたら申請するよう指導する。

 

合併症とその治療法

侵襲されている臓器の状態により、さまざまな合併症がみられる。肺症状には格段の注意を払うことが大事である。

 

治療経過・期間の見通しと予後

個別患者の疾患程度や、侵された臓器によって異なる。

 

看護の役割

治療における看護

合併、オーバーラップしている疾患に対応する看護のポイントに注意しつつ、患者をサポートしていく。

 

 

目次に戻る


 

本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

> Amazonで見る   > 楽天で見る

 

 

[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

SNSシェア

看護ケアトップへ