胎位、胎向、胎勢|児の回旋のメカニズム①
『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は児の回旋のメカニズムのうち、胎位、胎向、胎勢(たいせい)について解説します。
藤本 薫
保健医療技術学部看護学科教授
胎位、胎向、胎勢
胎児位置の表現を表1に示す。
1胎位
胎位とは、胎児の縦軸と子宮の縦軸との位置関係を表す。
分類(図1)
① 縦位(じゅうい):胎児の縦軸と子宮の縦軸が平行となる。
a.頭位:児頭が子宮の下方にあるもの。
b.骨盤位(図2):児骨盤が下方にあるもの。
②横位(おうい):胎児の縦軸が子宮の縦軸に横に交差する。
③斜位(しゃい):胎児の縦軸が子宮の縦軸に斜めに交差する。
2胎向
胎向とは、縦位では児背と母体との関係、横位では児頭と母体との位置関係をいう。
分類(図3)
①第1胎向:児背または児頭が母体の左側に向かう場合。
②第2胎向:児背または児頭が右側に向かう場合。
❶第1分類:児背が母体の前方に向かうもの。
❷第2分類:児背が母体の後方を向かうもの。
3胎勢
胎勢とは、胎児の姿勢を意味する。
分類(図4)
①屈位(くつい):頭位において児頭を前屈し背中を丸め、四肢を屈曲して身体の前で組む姿勢が正常胎勢であり屈位とよぶ。分娩時には、小泉門が先進し、最小前後径である小斜径が骨盤入口を通過する。
②反屈位(はんくつい):児頭を後方に屈曲伸展する前頭位(ぜんとうい)、額位(がくい)、顔位(がんい)は異常胎勢であり、反屈位とよぶ。
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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版