新しい分娩経過曲線|分娩予測②

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は新しい分娩経過曲線について解説します。

 

立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授

 

 

新しい分娩経過曲線

立岡は、2008年に初産婦2398症例、1経産婦1629症例、2経産婦467症例、3経産婦78例の分娩経過から、分娩経過曲線を作成し、公表した1)2)

 

1初産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

初産婦の分娩経過曲線を図1に示す。

 

図1 初産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

初産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

 

分娩経過曲線の特徴

・潜伏期がない。
・分娩開始後は、5時間で子宮頸管は7cmまで開大する(開進期)。
・さらに、分娩後5時間から9時間まではゆっくりと、4時間かけて1cm開大し、子宮頸管は8cmになる(緩進期)。
・緩進期終了後、1時間で子宮頸管が全開大する(急進期)。

 

緩進期の存在

緩やかに進行するこの時期は、その後の急進期に備えた体力の消耗を抑える大切な時期である。「待つお産」として、この緩進期を知っていくことが促進分娩を減らすことにつながる。

 

2経産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

経産婦の分娩経過曲線を図2に示す。

 

図2 経産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

経産婦の分娩経過曲線(自然分娩症例)

 

分娩経過曲線の特徴

・潜伏期はなく、分娩開始時にはすでに子宮頸管が開大している。
・分娩開始時には、子宮頸管開大は1経産婦で3.2cm、2経産婦で4cm、3経産婦で4.1cmである。
・1経産婦の曲線では、約0.85cm/時間の傾斜を描き、停滞することなく緩やかに子宮頸管の全開大に至る。
・2経産婦の曲線では、分娩開始から3時間までに平均約1.3cm/時間の曲線を描き、その後は1経産婦と同様に全開大まで約0.85cm/時間の傾斜を描いた。
・3経産婦の曲線では、分娩開始から2時間で約1.5cm/時間の傾斜を描き、2時間から3時間で0.3cm/時間、3時間から4時間で0.5cm/時間の傾斜を描いた。

 

 

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引用・参考文献

1)立岡弓子ほか:分娩経過曲線のヒミツ―初産婦を対象とした自然分娩症例の分娩経過曲線の作成.助産雑誌、62(10):992-996、2008
2)立岡弓子ほか:分娩経過曲線のヒミツ―経産婦を対象とした自然分娩症例の分娩経過曲線の作成.助産雑誌、62(12):1185-1189、2008

 

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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