なぜにおいの種類を認識できるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回はにおいの種類の認識方法について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
なぜにおいの種類を認識できるの?
においの分子を感知すると嗅細胞(きゅうさいぼう)の嗅毛が振動を起こします。このとき、においの種類によって振動が微妙に異なります。たとえば、ある嗅毛は柑橘系のにおいにだけ反応して振動し、ある嗅毛はミントのにおいにだけ反応して振動し、ある嗅毛は腐敗臭だけに反応して振動するといった具合です。
この嗅毛の振動を受け止める嗅神経には周波数特異性があります。ある嗅神経は柑橘系のにおいの振動だけに反応し、ある嗅神経はミントのにおいの振動だけに反応し、ある嗅神経は腐敗臭だけに反応します。反応すべき周波数の振動が来ると嗅神経は興奮し、電気的な信号を発します。この電気信号を大脳皮質の嗅覚野が総合的に判断し、それまでの記憶と照らし合わせ、これはミカンのにおいだというように、判別することができるのです。
大脳皮質では、においの種類によって各野に神経の興奮が伝達されます。たとえば、おいしそうなにおいだと判断した場合は体性感覚野に信号が送られ、唾液が分泌されます。嫌なにおいの場合は信号が運動野に送られ、手指を動かして鼻をつまむ動作を起こします。
※編集部注※
当記事は、2020年3月10日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版