空気の振動はどうやって音になるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は蝸牛の役割について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
空気の振動はどうやって音になるの?
ヒトの脳では、空気の振動を音として感じることはできません。そこで、耳小骨で増幅された空気の振動は、次のステップが必要になります。それが、内耳の蝸牛(かぎゅう)によるエネルギーの変換です(図1)。
蝸牛は、空気の振動を電気的な信号に変換する変電所のような存在です。その名の通り、カタツムリのような形をしており、管が2回転半しています。管の中にはリンパが満たされています。
空気の振動を伝えるのは、蝸牛のなかに満たされているリンパです。リンパの揺れにより、感覚細胞が反応する仕組みになっているのです。蝸牛の内部には基底膜という組織があり、その上には音を感知する感覚細胞がぎっしりと並んでいます。感覚細胞はピアノの鍵盤のような働きをしており、伝わってきた振動に応じて反応し、電気的な信号に変換します。
電気的な信号は、蝸牛神経を通じて大脳の聴覚野に伝えられます。すると、ここで音の強さや高さなどが整理され、音として認識されます。
内耳から脳に至るまでの経路は、音を感じるための仕組みですから、感音系と呼ばれます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版