空気の振動はどうやって音になるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は蝸牛の役割について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

空気の振動はどうやって音になるの?

ヒトのでは、空気の振動を音として感じることはできません。そこで、小骨で増幅された空気の振動は、次のステップが必要になります。それが、内耳の蝸牛(かぎゅう)によるエネルギーの変換です(図1)。

 

図1内耳の構造

内耳の構造

 

蝸牛は、空気の振動を電気的な信号に変換する変電所のような存在です。蝸牛はカタツムリのような形をしており、管が2回転半しています。管の中にはリンパが満たされています。

 

空気の振動を伝えるのは、蝸牛のなかに満たされているリンパです。リンパの揺れにより、感覚細胞が反応する仕組みになっているのです。蝸牛の内部には基底膜という組織があり、その上には音を感知する感覚細胞が並んでいます。感覚細胞はピアノの鍵盤のような働きをしており、伝わってきた振動に応じて反応し、電気的な信号に変換します。

 

電気的な信号は、蝸牛神経を通じて大脳の聴覚野に伝えられます。ここで音の強さや高さなどが整理され、音として認識されます。

 

内耳から脳に至るまでの経路は、音を感じるための仕組みですから、感音系とよばれます。

 

MEMO蝸牛

長さ3cm ほどの管が2回転半しており、内部は前庭階、蝸牛管、鼓室階の3層に分かれています。蝸牛管の下壁には感覚細胞が並ぶコルチ器という装置があり、ここで空気振動が電気信号に変換されます。

 

※編集部注※

当記事は、2019年12月31日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

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