音はどのように伝わるの?|聴覚
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は耳の構造と音が伝わる仕組みについて解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
音はどのように伝わるの?
耳は、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)という3つの部分に分けられます。そして、このすべてを動員して音を聞き取っています。
外耳は、耳介(耳たぶ)と外耳道(耳の穴)からなります。耳介は音を集める集音器の役割を果たし、外耳道を通じて鼓膜に音を伝えます。外耳道は、成人で2.5〜3.5cm程度の長さの通路で、ゆるやかなS字状にカーブしています。これは、外気の圧力を直接受けないように鼓膜を保護する仕組みです。また、外耳道には皮脂腺や耳垢(じこう)腺が分布しており、耳の中に潤いを与えると同時に、ゴミを吸着します。
鼓膜は伝わってきた空気の振動をキャッチするセンサーのようなものです。大きな音では振動も大きくなり、小さな音では振動も小さくなります。音の高低でも、鼓膜の振動は変化します。鼓膜の振動は、次に、鼓室(中耳腔)にある3つの小さな骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)に伝わります。これらの骨を耳小骨といいます。耳小骨は増幅器に相当し、ここで振動を30倍程度に増幅します。とはいえ、単に増幅するだけでなく、大きすぎる音は小さく、小さすぎる音は大きくといったように、その調節はデリケートです。
この段階までは音を空気の振動として伝えるための仕組みで、総称して伝音系と言います。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版