耳鳴りが起きるのはなぜ?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は耳鳴りが起きる仕組みについて解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

耳鳴りが起きるのはなぜ?

鳴りには他覚的耳鳴り自覚的耳鳴りがあります。他覚的耳鳴りは、筋が動く音、血液が流れる音、呼吸の音、心臓の鼓動など、身体の中で行われている生命活動によって生じます。いつもは聞こえませんが、静かな環境に身を置くことで聞こえることがあります。他覚的耳鳴りには音源があるため、聴診すると他人でも聞くことができます。

 

一般に耳鳴りというと自覚的耳鳴りを指します。自覚的耳鳴りは、外耳から中耳、内耳、脳へと至る過程のどこかに異常があるために生じます。最も多いのは、蝸牛からに至るまでの聴覚路の異常です。耳鳴りの原因は完全には解明されていませんが、蝸牛神経の自発放電に関係があると考えられています。

 

蝸牛では、空気の振動が伝わってこない場合でも、神経伝達物質の漏れによって絶えず電気的な信号が放電されています。これを自発放電といい、自発放電が異常に増加することで耳鳴りを生じさせていると考えられています。こうした状態をオルガンに例えると、押した鍵盤が元に戻らずに音を出し続けている状態です。

 

※編集部注※

当記事は、2020年1月7日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

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