染色体のゲノムって、いったい何?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は染色体のゲノムについて解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
染色体のゲノムって、いったい何?
遺伝子、DNA、ゲノムなどは、細胞や遺伝に関連する言葉です。この3つの言葉の関係は、遺伝子は親から子へ伝わる特徴の最小単位で、DNAの3文字で書かれたタンパク質の設計図です。ゲノムはDNA上の4つの塩基の並び方を総称したもので、遺伝情報の全体を表すということになります。
すなわち、遺伝子は体の部品である個々のタンパク質の設計図であり、ゲノムはそれら遺伝子全体が集まった体全体の設計図です。生物が生きていくために必要な、最小限度の染色体の1組をゲノムといいます。そして、これらの設計図はDNAの3文字で構成される4種類の塩基の並び順や組み合わせによって描かれているのです。DNAは2本の鎖がらせん状になった形(二重らせん構造)をしていますが、この鎖は4種類の塩基が組み合わさることで出来上がっています。
多くの生物の体細胞には、ゲノムがペアで含まれています。ヒトの体細胞には、23対46本のペアの染色体(相同染色体)が含まれています。1組は父親、もう1組は母親から受け継いだものです。卵子と精子はそれぞれ1組23本の染色体しか持っていませんので、互いに結びつくことで、23対46本の染色体を持つ細胞が生み出され、父親・母親双方の遺伝情報が受け継がれていくのです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版