リボソームやゴルジ装置の役割は何?|細胞の構造と遺伝

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回はリボソームやゴルジ装置の役割について解説します。

 

リボソームやゴルジ装置の役割は何?

細胞ではヒトの体の設計図であるDNAを基に、様々な活動が行われています。活動を担っているのは、細胞小器官です。しかし、DNAは細胞全体のことを記した大事な設計図ですから、そのまま持ち出すわけにはいきません。そこで、必要な時に、必要な部分だけをコピーして持ち出す仕組みができています。

 

DNAの情報を部分的にコピーしたものをRNAといいます。この情報を外部に持ち出す役目を担っているのが、メッセンジャーRNA(mRNA)です。メッセンジャーRNAは、設計図を小胞体(粗面小胞体)に持ち込みます。粗面小胞体の表面にはリボソームという細胞小器官がたくさん付着しており、コピーされた設計図に基づいて必要なタンパク質の合成を行います。この時、タンパク質合成の材料になるのは、食事から取り入れたアミノ酸です。なお、リボソームが付着していない滑面(かつめん)小胞体は、脂質代謝に関与しています。小胞体は核の外膜とつながっており、細胞という社会のなかの工場と道路に相当します。

 

タンパク質を例にとると、次の仕事はゴルジ装置が受け持ちます。ゴルジ装置では、合成されたタンパク質に様々な糖を付加して糖タンパク質を作り出し、顆粒状にして細胞質に送り出します。付加された糖の種類によって、細胞質にとどまったり、細胞膜に向けて放出されたりします。すなわち、付加される糖は、そのタンパク質の配達先を記した荷札のような役割を果たします。ゴルジ装置は、細胞内で作り出された物質を選別して包装し、荷札をつけて必要な場所に送り出す配送センターに相当します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ