ミトコンドリアやリソゾームの仕事は何?|細胞の構造と遺伝
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回はミトコンドリアやリソゾームの役割について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
ミトコンドリアやリソゾームの仕事は何?
「細胞は1つの社会」と前に記しました。 核は政府、小胞体やリボソームは工場と道路、ゴルジ装置は配送センターです。しかし、これらの器官が活動を行うためには、エネルギーが必要です。そのために存在しているのが、発電所に相当するミトコンドリアです。
ミトコンドリアは細胞内に約2,000個存在しており、活動エネルギーを多く必要とする細胞ほど、たくさん保有しています。ミトコンドリアで作られるエネルギーはという化学物質です。すべての生物は呼吸をして有機物を分解し、酸化反応を行うことでATPを作り出しています。ミトコンドリアのなかには、酸化反応の最終段階の場であるクリステ、クエン酸回路や脂肪酸酸化に関与する様々な酵素を含むマトリックスなどがあります。
エネルギーが作られて様々な活動が行われれば、当然のことながら不要なごみが生じてきます。こうした不要物を処理するごみ処理場に相当する器官がリソソーム(水解小体)です。リソはラテン語で「溶かす」という意味です。リソソームはあらゆる物質を溶かす酵素の詰まった袋で、細胞内のごみや外から侵入してきた細菌などを消化してしまいます。
メモクエン酸回路
摂取した三大栄養素を分解し、エネルギー、二酸化炭素、水を生成する代謝回路。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版