せん妄の症状が薬剤による副作用なのかを見極めたいときはどうすればよいですか?
『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、薬剤が原因のせん妄症状の見極め方について解説します。
せん妄の症状が薬剤による副作用なのかを見極めたいときはどうすればよいですか?
せん妄の原因となる薬剤が投与されていないかをチェックしましょう.
その際,疑わしい薬剤の服用の時期や期間,服用量の確認がポイントとなります.
〈目次〉
まずは投与されている薬剤をチェック
薬剤はせん妄の直接因子であり,せん妄がみられた場合,せん妄の原因となりうる薬剤が投与されていないかを疑う必要があります.
せん妄の症状か薬剤の副作用かわからない場合,せん妄を起こしやすい薬剤が投与されていたかチェックするとよいでしょう.
せん妄を起こしやすい薬剤については『せん妄を起こしやすいくすりには何がありますか?』に示してあります.
服用時期
さらにここでは,薬剤の服用期間とせん妄の出現について表1にまとめました.
服用量
高用量でせん妄を起こしやすくなる薬剤が多いとされています.また麻薬性鎮痛薬(モルヒネなど)や副腎皮質ステロイドなどの増量時には注意が必要です.
一方,パーキンソン病治療薬などでは常用量でも起きることが知られています.
そのほかの因子
常用量であっても,高齢である場合,肝・腎機能が低下している場合,薬剤の相互作用(たとえばシメチジンと三環系抗うつ薬との併用でリスクが上昇する)などによりせん妄のリスクが増すと考えられています.
[文献]
- 1)柴田敬祐ほか:高齢者せん妄を誘発する物質と薬物.老年精神医学雑誌17(6):610-615,2006
- 2)樋山光教:せん妄を引き起こす薬剤をチェックする.薬局56(3) : 1577-1585,2005
[Profile]
内田 雅士 (うちだ まさし)
千葉大学医学部附属病院薬剤部
石井伊都子 (いしい いつこ)
千葉大学医学部附属病院薬剤部
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行