浮腫の観察ポイントと対応は?|ストーマ術後合併症の予防と対策
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ術後の浮腫の観察ポイントと対応について解説します。
ストーマ術後の浮腫の観察ポイントと対応は?
観察ポイントは,ストーマサイズ(基部径と最大径の差),粘膜の潤い,粘膜損傷(出血や潰瘍など)の有無や部位です.
浮腫のある粘膜は傷つきやすいため,面板のストーマ孔サイズを適切にすることが大切です.面板をストーマに通すときに,面板が触れない大きさにカットします.
〈目次〉
解説
ストーマ浮腫は,ストーマ粘膜や粘膜下の毛細血管や細胞間腔,筋肉組織,脂肪組織に漿液が集まって腫れた状態です(図1).
原因は,手術操作による腸管の静脈還流障害です.通常,術後3~4日に最も強く,術後7日目くらいから軽減し,浮腫が消失するまでには1~数カ月かかるともいわれています.
1観察ポイント
観察ポイントはストーマのサイズと潤いです.浮腫のあるストーマはストーマ基部径と最大径に差があるマッシュルーム状のことが多く,浮腫の軽減とともにストーマサイズは縮小します.浮腫のある粘膜は薄く,わずかな外的刺激で損傷しやすく,出血や潰瘍などが生じることがあります.
粘膜損傷の有無や部位も観察しましょう.粘膜を傷つけないためには,面板のストーマ孔サイズを適切な大きさにすることです.
2対応
面板を皮膚に貼付する際,ストーマ粘膜に面板が接触しない大きさにカットします.目安は,ストーマ基部径サイズより5mm程度大きくします.ストーマ基部径と最大径の差が大きく,5mm程度大きくカットしても粘膜に接触してしまう場合は,放射状に面板をカットしたり(図2),大きくカットした面板の内側を用手形成皮膚保護剤などで保護したりします.指で伸ばして大きさを調整できる面板もあるので,このような面板を選択することもよいでしょう.
また,ストーマ周囲の皮膚を洗うときにストーマを強く擦らないように注意します.粘膜から出血した場合は,軽く圧迫止血した後に,粉状皮膚保護剤で保護すると湿潤環境が維持され治癒が促進します.
[引用・参考文献]
[Profile]
清藤友里絵せいどう・ゆりえ
東邦大学医療センター佐倉病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行