ダブルストーマのストーマサイトマーキングの注意点は?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ダブルストーマのサイトマーキングについて解説します。

 

ダブルストーマのストーマサイトマーキングの注意点は?

 

ダブルストーマのマーキングでは,尿路ストーマのほうが解剖学的な制約を受けやすいので,まず右下腹部に尿路ストーマを優先して位置を決めます.
2つの装具が重ならないよう貼付するため,尿路ストーマの位置から7~9cm離れた左下腹部に消化管ストーマの位置を決めていきます.
ストーマ装具用のベルトを装着する場合も考慮し,平行な位置より,高さをずらした位置を選択します(図1).

 

図1ダブルストーマのストーマサイトマーキング

ダブルストーマのストーマサイトマーキング

 

解説

図1のケースは,骨盤内臓全摘出術に伴い,結腸ストーマと回腸導管の造設予定です.右側が結腸ストーマ,左側が回腸導管のマーキング部位です.ダブルストーマの造設は,外科医と泌尿器科医が分担して行う場合もあります.

 

ダブルストーマに限らず,ストーマサイトマーキングは,術者とともに実施できるよう時間などの調整を行います.管理しやすいストーマ造設を目指し,尿路ストーマは腎・尿管などの解剖学的位置関係上,造設する位置が制限されることなど,治療の観点とセルフケアの観点から情報交換を行い,患者が納得した位置に自己決定できるよう支援します.患者や家族にとって,医療者同士のコミュニケーションのよさは,信頼感と安心につながり,セルフケアやストーマの受け入れによい影響をもたらします.

 

平成24(2012)年度より,ストーマサイトマーキングの実施は,診療報酬上保険請求できるようになりました(表1).

 

表1ストーマサイトマーキングに対する診療報酬加算1)

 

K939─3 人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算 450点

注)別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において,手術の前に療養上の必要性を踏まえ,人工肛門又は人工膀胱を設置する位置を決めた場合に算定する.

 

人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算は,人工肛門造設後の合併症等の予防のため,術前の画像診断や触診等により,腹直筋の位置を確認した上で,適切な造設部位に術前に印をつけるなどの処置を行うことをいい,人工肛門のケアに従事した経験を5 年以上有する看護師等であって,人工肛門のケアにかかる適切な研修を修了したものが,手術を実施する医師とともに,術前に実施した場合に算定すること.

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)診療点数早見表2012年4 月版.医学通信社,2012,597─8.
  • 2)小島操子.看護における危機理論・危機介入.金芳堂,2004,26─33.
  • 3)大井綱朗.皮膚科疾患.中川秀己編.中山書店,2001,42─7,(看護のための最新医学講座,19).
  • 4)西出薫ほか.“ストーマケア技術の文献的考察とエキスパートオピニオン”.ストーマケア エキスパートの実践と技術.日本ET/WOC協会編.照林社,2007,44─6.

 


[Profile]
大溝 茂実 おおみぞ・しげみ
川崎市立井田病院看護部教育研修担当師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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