ストーマ造設の位置はどのように決め,ストーマサイトマーキングはどのように行うの?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマサイトマーキングについて解説します。

 

ストーマ造設の位置はどのように決め,ストーマサイトマーキングはどのように行うの?

 

手術前にストーマを造る位置をあらかじめ決め,体表上に選定し,印をつけます.これをストーマサイトマーキングといいます.医師と看護師とともに,患者が治療に参加する第一歩となります.たとえば,患者が大工であれば,道具袋を腰に下げる位置を考慮するなど,術後の生活場面を想定し,三者で情報を共有したうえで,クリーブランドクリニックの5原則(表1)を目安にしながら,ストーマサイトマーキングを実施します.

 

表1クリーブランドクリニックの5原則(標準体型の場合)

クリーブランドクリニックの5原則(標準体型の場合)

 

 

解説

ストーマ造設の位置は以下の手順で決めます.

 

1必要物品

マーキングディスク,水性ペン,マーキングペン,ノギスまたはメジャー,デジタルカメラ

 

2手順

  1. 患者に,腹部全体が見えるように仰臥位になってもらいます.
  2. 腹壁を観察し,水性ペンで肋骨弓,腸骨稜,瘢痕創,臍を中心に正中,左右に線を引きます.
  3. 患者に腹部から足先を見るような姿勢をとってもらい,腹直筋を緊張させ,その部位を両手で触診しながら確認し,外縁に線を引きます.
  4. 腹部脂肪層の頂点を確認し,マーキングディスクを平面が得られる部位におきます.その位置でマーキングディスクの中央の穴から,印をつけておきます.
  5. 座位や立位,前屈位などをとってもらい,印をつけた部位にしわやくぼみがないか,マーキングディスクをあてながら確認します(図1).
  6. 患者自身が,印をつけた部位に指をあて,見える位置であるか確認します.この時,座位の患者の背後から肩越しにマーキング部位をみると,患者からどのようにみえるか確認できます.
  7. マーキングペンで印が消えないようにし,臍や正中からの距離を計測後,写真やシェーマで記録を残し,水性ペンで引いた線を消します.

図1座位でマーキング部位を確認

座位でマーキング部位を確認

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)診療点数早見表2012年4 月版.医学通信社,2012,597─8.
  • 2)小島操子.看護における危機理論・危機介入.金芳堂,2004,26─33.
  • 3)大井綱朗.皮膚科疾患.中川秀己編.中山書店,2001,42─7,(看護のための最新医学講座,19).
  • 4)西出薫ほか.“ストーマケア技術の文献的考察とエキスパートオピニオン”.ストーマケア エキスパートの実践と技術.日本ET/WOC協会編.照林社,2007,44─6.

 


[Profile]
大溝 茂実 おおみぞ・しげみ
川崎市立井田病院看護部教育研修担当師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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