緊急手術でストーマ造設するときのストーマサイトマーキングはどうするの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、緊急時のストーマサイトマーキングについて解説します。
緊急手術でストーマ造設するときのストーマサイトマーキングはどうするの?
緊急手術であっても,ストーマ造設の可能性があればインフォームド・コンセントを行ったうえで,手術室に入室後,ストーマサイトマーキングを実施します.手術台で,麻酔後に膝関節を曲げ,仰臥位,座位,前屈位などをとります.
肋骨弓や上前腸骨棘などの骨突出部や正中創にかからない距離を考慮します.また,腹部(腸管)が緊満している場合,術後は腹壁全体が下垂するので,通常より軽度外側上方とします.
マーキングの位置は,点ではなく造設可能な範囲がわかるように印しておきます.
解説
一時的ストーマ造設であっても,病状や全身状態の増悪などの何らかの理由で,永久的ストーマとなる場合もあります.ストーマ造設の可能性が少しでもあれば,ストーマサイトマーキングを行います.
全身状態や腹部の状態によって,どうしてもストーマサイトマーキングを行えないときは,肋骨弓や上前腸骨棘にかからないよう依頼します(図1).
また,緊急時に造設されたストーマは,ストーマ粘膜の循環障害やストーマ粘膜皮膚接合部の感染など,合併症を起こしやすいため,ストーマ作製時に,高さを考慮してもらうことも大切です.
ポイントは次の4つです.
- ①CT画像で腹直筋の幅を確認する
- ②本来の体型などを問診して情報収集を行う
- ③開腹創とストーマ外縁との距離を少なくとも2~3cm以上あけ,平らな面を確保できる部位
- ④腹直筋より内側で,肋骨弓,上前腸骨棘,深いしわから5~7cm以上離れている範囲
図2のケースは,S状結腸の閉塞により下行結腸または,横行結腸に双孔式ストーマを造設予定です.
図2腹部緊満があり,緊急手術を要する場合のストーマサイトマーキング
腹部の緊満が著明で,腹直筋の確認ができない場合は,腹部CT画像から,腹直筋の幅を計測したうえで,造設可能な範囲を示すよう印をつけます.
[引用・参考文献]
[Profile]
大溝 茂実 おおみぞ・しげみ
川崎市立井田病院看護部教育研修担当師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行