水分出納を考慮するのはなぜ?|輸液

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は水分出納に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

水分出納を考慮するのはなぜ?

1日の水分摂取量(in take)と水分喪失量(out put)から、どの程度の量の輸液が必要か判断するためです。

 

人間の体は60%が水分で占められ、体液の量を維持することで生命が保たれています。

 

普通に食事摂取ができて特別な水分喪失がない状態で、飲水量と尿量が等しければ、体内の水分は一定に保たれていると判断できます。

 

しかし、経口摂取ができなかったり、発汗や下痢嘔吐などによる体液喪失が見られた場合には、in takeとout putのバランスが崩れ、体液の量を一定に保てなくなってしまいます。そこで輸液が必要になってきます。水分出納(すいとう)を考慮し、必要とされる輸液量を決めなければなりません。

 

経口摂取ができない患者の維持輸液を行う場合を例に考えてみましょう。この患者が、1日に尿として1000~1500mL、便として100mL、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)として900mLの水分を排泄すると仮定します。out putの合計は2000~2500mLということになります。

 

一方、in takeは代謝によって生じる300mLだけですから、この場合、2000~2500mLから300mLを引いた量、つまり1700~2200mLの輸液が必要になります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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