輸液療法を行うのはなぜ?|輸液
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は輸液療法に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
輸液療法を行うのはなぜ?
生体の持つ調節力(ホメオスターシス)にもかかわらず、種々の原因で水・電解質のバランスが乱れて生体機能が障害された場合に、この状態を是正することを目的として輸液療法を行います。
また、長時間にわたって血中濃度を一定に維持する必要のある薬剤を投与する場合にも、輸液療法が行われます。
輸液療法には次のような種類があります。
維持輸液
脱水や電解質不足に陥(おちい)るのを予防するために行います。
補充輸液
脱水、腎障害、手術、熱傷などで、水や電解質が不足した時に行います。
栄養輸液
手術、消化管の障害、全身状態の悪化などで、水や電解質だけでなく栄養の補給が必要な場合に行います。短期間の場合は末梢静脈栄養、長期間にわたる場合は中心静脈栄養によって高カロリー輸液剤を注入します。
治療輸液
降圧薬、抗癌薬など、病態や症状の改善を目的にして行います。
memoホメオスターシス
環境が変化しても、体温、血糖値、血圧、体液中の水分・電解質のバランスなどを一定の生理状態に保とうとする働きを、ホメオスターシスといいます。水や電解質、酸塩基、浸透圧などの恒常性は主に腎臓によって保たれ、呼吸や細胞によっても調節されています。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版