氷枕をカバーやタオルなどで包むのはなぜ?|冷罨法
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は氷枕をカバーやタオルで包むことに関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
氷枕をカバーやタオルなどで包むのはなぜ?
氷枕にカバーをかけるのは、皮膚に当たる温度を調節するためです。
一般的には、皮膚に当たる温度は15℃前後が心地よいとされており、この程度の温度であれば凍傷や知覚麻痺を起こさないとされています(10℃以下では痛覚が出現)。しかし、こうした快適温度にも個人差がありますので、カバーやタオルで調節するようにします。
カバーをかけることによって、湿潤(しつじゅん)による過度の冷却を避けることもできます。しかし、長時間カバーをかけたままにしておくと、カバーそのものが湿潤してしまいます。水の熱伝導率は空気の25倍も高く、カバーが湿潤した状態では必要以上の熱伝導が加わり、凍傷をひき起こす危険性もあります。氷枕をビニール袋で覆ってからカバーをかけたり、濡れたカバーを取り換えるなどの注意が必要です。
場合によっては3~10℃程度の温度でも凍傷が起きることがありますので、直接的に湿潤冷感が伝わらないようにカバーの素材や厚みで調節する必要もあります。
氷枕内の空気を押し出す
氷枕は、止め具をはめる前に寝かせて置き、水がこぼれないように口を上に向けて貼用面を掌でなぞるようにして空気を抜きます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版