湯たんぽを患者の体から10cmほど離すのはなぜ?|温罨法
【大好評】看護roo!オンラインセミナー
『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は湯たんぽの使用に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
湯たんぽを患者の体から10cmほど離すのはなぜ?
必ず患者の体から10cmほど離して湯たんぽを置くのは、湯たんぽによる熱傷を防ぐためです。
一般的には、患者の足もとに置きます。寝返りをした時に患者の足が触れる危険性もありますから、湯たんぽにはカバーをかけるか、バスタオルで包むようにします。カバーをかけるのは、熱伝導度が小さい布と空気(比熱0.24cal/g)で湯たんぽを包み込むことで、患者への温度刺激を和らげるためです。湯たんぽの表面温度が45℃以上にならないように気をつけましょう。
意識障害や知覚鈍麻(どんま)・麻痺などがある患者の場合は、定期的に観察して熱傷に十分に注意する必要があります。湯温は8~10時間経つと40℃程度にまで下がりますが、40℃であっても長時間皮膚に直接当たっていると、低温熱傷が生じることがありますので、注意が必要です。
ゴム製湯たんぽは、直接皮膚に貼用(ちょうよう)することもありますが、この場合も深部熱傷を起こす危険性がありますので、長時間にわたる使用は避けます。
memo温痛、冷痛
皮膚には、温覚と冷覚という2つの温度覚があります。この温度覚の受容体が温点と冷点で、対象物からの熱が皮膚に到達するとこれらの受容体が反応し、最終的には頭頂葉に達して「熱い、冷たい」などの感覚を生じさせます。
温点は40~45℃の温度刺激で応答し、45℃以上の温度では温痛を感じさせます。冷点は25~30℃の温度刺激で応答し、15℃以下になると冷痛を感じさせます(1)。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版