嚥下障害のある人の食事にとろみをつけるのはなぜ?|食事援助
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は嚥下障害のある人の食事に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
嚥下障害のある人の食事にとろみをつけるのはなぜ?
嚥下機能が低下したり、咽頭や食道が狭くなったりすると、つるりとした食べ物、とろりとした食べ物のほうが通過しやすくなるからです。
水分や汁物にとろみをつけると、気管に入ってむせるのを予防できますが、とろみを強くつけすぎると飲み込みにくくなり、咽頭への残留が多くなって誤嚥につながります。
嚥下しやすい食事の状態は、硬すぎず、食塊としてまとまりやすく、喉ごしのよいものです。きざむ、裏ごしする、つぶす、ミキサーにかけるなどの工夫をして食べやすいペースト状にしたり、ゼラチンや寒天でとろみをつけます。
頚部を前屈させる
座位あるいは半座位で食事をする時は、誤嚥を防ぐために、顎が上がらないように枕で調節し、顎と首の間に指3~4本(あるいはげんこつ)が入る程度に、ややうつむき加減で首を保つようにします。
患者の視線が前方を向く程度に枕を当てるのがポイントです。
枕の当て方が足りないと視線が上向きになり、誤嚥の危険性が増します。反対に枕を当てすぎると視線が胸元に行くようになり、嚥下しにくくなります。
口に入れる1回量
誤嚥を防ぐためには、口に入れる量を考慮する必要があります。適切な1回量は、ティースプーン1杯程度。口に入れる量が多すぎると咀嚼や嚥下がしにくくなります。
介助する場合は、食べ物をのせたスプーンを舌の先端から中央部あたりに置き、患者に口を閉じてもらってから、やや上に向けてスプーンを引きます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版