術後せん妄が見られる患者の夜間対応はどうする?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「術後せん妄が見られる患者の夜間対応」に関するQ&Aです。
堀治
大阪市立総合医療センター看護部主査
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
術後せん妄が見られる患者の夜間対応はどうする?
対症的にまず安全確保を優先するとともに、要因をアセスメントし、その要因に対して治療・ケアします。
〈目次〉
術後せん妄時のリスクは?
(表1)に示したせん妄の症状のため、大声を出す、転倒、点滴などルート類の自己抜去、安静度指示が守れず治療経過に支障をきたすなどのリスクが考えられます。
術後せん妄のリスクから患者を守る(安全確保)方法は?
せん妄が予測できるケースでは患者が安心できる環境にするため、あらかじめ家族に協力を求め術後はできるだけ面会を遅くまでしてもらい、必要であれば夜間の付き添いを依頼します。
できるだけルート類は患者の目に入らないように、点滴台の位置を工夫し、ルートは手が届かないところを通し、自己抜去に至らない工夫をしておきます。また、苦痛を最小限にするよう疼痛コントロールや体位をこまめに整えるようにします。
夜間緊急時の対応としては、会話できるようであれば落ち着きを取り戻せるようにはたらきかけます。会話できない状態や、会話では落ち着くことができない場合は、薬物により精神運動興奮を抑え睡眠を確保します。しかし、なかなか効果が得られないこともあります。その場合、詰所近くにベッドを移動するなどして、常に看護師がそばにいる環境にします。
それが難しいときはやむを得ず拘束することも必要となるでしょう。ただし、不安でいっぱいな状況で拘束することは恐怖を抱かせることになり、状況を悪化させ、長期化させてしまう可能性があります。長期化防止のためには、毎日、皮膚、循環のチェックと危険因子のチェックを行い、医師と確認する必要があります。それに加えて、できるだけそばで見守れる環境を整え、状況を説明し安心できるようにかかわることが大切です。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社