皮膚が汚れるのはなぜ?|清潔援助
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は皮膚の汚れに関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
皮膚が汚れるのはなぜ?
皮膚が汚れるのは、常に汗や皮脂を分泌するためです。
また、日々行われている新陳代謝によって古くなった角質と、外部からのほこりやちりが混じり合い、垢(あか)になるためでもあります。
人間の体表を覆っている皮膚は、表皮、真皮、皮下組織、付属器官から成っています。表皮の厚さは0.1~0.15mm(手の平や足の裏は0.5~1.3mm)で、外界に接している部分には核を失った扁平な細胞が幾重にも重なっています。これを角質層といいます。
表皮の最下部にある基底(きてい)細胞は、絶えず分裂を繰り返して次々と細胞を再生し、古くなった細胞が上に押し上げられて角質層になります。基底細胞が分裂して最上部に達するまでには2週間かかり、さらに角質層の最も外側に達して小片になって剥がれ落ちるまでに2週間かかります。この剥がれ落ちた小片が垢です。
また、皮膚には、汗腺(エクリン腺、アポクリン腺)、皮脂腺、爪、毛などの付属器官があり、汗や皮脂が分泌されます。
通常、成人で1日1500mLの水分が表皮から排出されており、このなかには自分では気づかない水分の蒸発もあり、これを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といいます。不感蒸泄は皮膚を通じた排泄の一種です。
このような代謝によって生じた老廃物や分泌物をそのままにしておくと、皮膚は汚れてしまいます。
MEMO不感蒸泄
体表面の皮膚や肺からは、絶えず水分の蒸散が行われています。安静時には、皮膚から約500〜800mL、呼気から300〜400mLの水分が蒸散しており、これによって体の熱の25%が失われています。発汗のように目に見える水分ではなく、自分では分からない程度で水分が蒸発していることから、不感蒸泄と呼ばれています。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版