カテ後の受け持ち!見るべきポイントは?

『エキスパートナース』2015年1月号<臨床の裏ワザ・裏知識>より抜粋。
カテ後の受け持ちにおけるポイントについて解説します。

 

富士榮博昭
洛和会丸太町病院洛和会京都血管内治療センター心臓内科医長

 

久しぶりの夜勤。え、この患者さん、今日カテしたんだ……何かあったらどうしよう……。 そんなときの“見るべきポイント”をそっと教えます。

 

〈目次〉

 

心臓・血管カテーテル検査の穿刺部位とその末梢動脈をチェックしよう

心臓や血管のカテーテル検査は局所麻酔で行います。カテーテルを挿入する場所(穿刺部位)は主に手首の動脈で、橈骨動脈、鼠径部の大腿動脈などからアプローチします(図1)。

 

図1カテーテル検査でのアプローチ血管

カテーテル検査でのアプローチ血管

 

アプローチする場所は患者さんの背景や検査・治療内容によって決定されています。たいていは手首の橈骨動脈からのアプローチで行っており、カテ後は歩いてトイレに行くことも可能です。ただし治療内容によっては鼠径部の大腿動脈からのアプローチが必要となる場合もあります。合併症が生じやすいのはこの大腿動脈から穿刺を行った場合ですので、注意が必要です。

 

“カテ出し”(カテーテル室での検査・治療)の前であれば、穿刺部位の確認をするとともに、それよりも末梢の動脈触知の有無を確認しておきましょう。橈骨動脈であればタバチエ部位(第1指に近い手首部位。タバチエール部位ともいう)、大腿動脈であれば膝窩動脈や足背・足底動脈です。

 

明らかに触知できなければドップラー血流計で聴取可能かどうか確認しましょう。もし“カテ前には触知あるいは聴取できたのに、カテ後に確認できない”という場合は、動脈閉塞や塞栓症の可能性もありますので主治医に確認しましょう。

 

“急激に膨れあがる血腫”は即圧迫!

急速に膨れあがる血腫を認めた場合は、即、圧迫します。

 

用手圧迫しながら主治医(あるいは当直医)をコールです。そのためにも、他看護師との連携も重要です。同時に、すぐにバイタルサインをとりましょう。

 

急速に膨れあがる血腫は緊急性が高いため、主治医の到着を待っていては血腫増大を招きます。早急に圧迫を開始します。

 

また上腕動脈や橈骨動脈の場合、上腕部で血圧計のマンシェットで血圧以上の圧をかけ、エアホースの部位を鉗子で止めて圧を維持しても効果的です。

 

異常なほど痛がる穿刺部位側の腰背部痛は、後腹膜血腫を疑え!

大腿動脈穿刺後で、穿刺部位側の腰背部痛があり、血圧低下(場合によってはショック状態)を伴う場合は後腹膜血腫を形成している可能性があります。まずはその可能性を疑うことが大切です。もし気づかず、断続的に出血が持続している場合は、出血多量で死に至ることも考えられます。

 

後腹膜血腫や腹腔内血腫は、穿刺時の穿孔やワイヤーでの血管損傷などが原因であることが多いです。皮下血腫のように目で見てもわからないので、CTでの確認が必要となります(図2)。

 

図2後腹膜血腫(CT像)

後腹膜血腫(CT像)

 

同時に採血を行い貧血が進行していないかチェックします。出血が持続している場合は止血術(カテーテルあるいは外科的手術)が必要となります。

 

腰背部痛や、血圧低下、脈拍上昇を伴う場合は、腹膜血腫の可能性も念頭に置いて主治医に確認しましょう!

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社

 

P.12~「臨床の裏ワザ・裏知識」

 

[出典] 『エキスパートナース』 2015年1月号/ 照林社

SNSシェア