術後、ドレーン排液の色調が変化するのはなぜ?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「ドレーン排液の色調」に関するQ&Aです。
中島隆善
医療法人明和病院外科医長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
術後、ドレーン排液の色調が変化するのはなぜ?
ドレーンの排液の成分が変化するためです。
〈目次〉
排液の成分とは?
術後早期のドレーンからの排液の成分は、手術操作に伴う出血からの血液成分と手術中に洗浄に使用した生理食塩水などが大部分を占めます。薄い血液の色をしており、いわゆる淡血性と呼ばれる性状です(図1)。
一方、手術による炎症が原因で血管透過性が亢進して生じる滲出液にはさまざまな種類のタンパク質や細胞成分が含まれており、これがいわゆる漿液性と呼ばれる性状で淡黄色を呈しています(図2)。
ドレーン排液の色調はどのように変化する?
ドレーンの排液の性状は、ドレーンの留置部位にもよりますが、術後経過に問題がなければ、「淡血性→淡々血性→淡黄色→淡々黄色」と変化していくのが普通です。これは、しだいに血液成分が減少し、手術による炎症の変化で滲出液が増えてくるためです。
したがって、排液が薄くなっていくのは微小な出血が減ってきているサインです。
どんな色調の変化が異常?
手術の内容やドレーンの留置部位によって考えられる異常が異なります。
具体的には、排液の色調が濃血性であれば術後出血、濃黄色や黄土色であれば胆汁漏(図3)、赤ワイン色であれば膵液漏、褐色であれば縫合不全、乳白色であればリンパ漏、などです。
個別に排液の色調の変化とアセスメントのポイントを把握することが大切です。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社