人工呼吸器装着患者のオーラルケアは、なんのために行うの?|人工呼吸ケア
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「オーラルケア」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
オーラルケアは、なんのために行うの?
〈目次〉
口腔環境の変化
人工呼吸器装着患者は、摂食や会話といった口腔機能不全に近い状態になる。そのため、唾液分泌の低下や、唾液中のIg-A量の低下、唾液の性状変化(粘液性の高い安静時唾液の分泌が優位になる)が生じる。
口腔の自浄作用が低下し、通常とは異なる細菌叢(黄色ブドウ球菌や、グラム陰性嫌気性桿菌)が生息するため、上気道感染・誤嚥性肺炎のリスクが高くなる。
気管挿管患者のオーラルケアの目的
気管挿管患者のオーラルケアの主な目的は、上気道感染・誤嚥性肺炎の予防である。
上気道感染・誤嚥性肺炎の予防
先述のように、人工呼吸器装着患者は、口腔環境の変化に伴い、上気道感染や誤嚥性肺炎が生じやすい状況にある。
誤嚥性肺炎は、口腔清掃(歯みがきなど)を中心とした器質的なケアの徹底により、予防できる。
略語
- Ig-A(immunoglobulin A):免疫グロブリンA
[文献]
- (1)岸本裕充,曽我賢彦:診療報酬に、なぜ「周術期口腔機能管理」が取り上げられたの?エキスパートナース2012;28:28-31.
- (2)岸本裕充:知っておきたい!急性期の口腔ケア.オーラルケア,東京,2008:102-103.
- (3)磨田裕:加温加湿.沼田克雄,奥津芳人編,新版図説ICU呼吸管理編,真興交易医書出版部,東京,1996:310-313.
- (4)厚生労働省:平成26年度診療報酬改定の概要(歯科診療報酬):26.http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039900.pd(f2014年11月18日閲覧).
- (5)岸本裕充,塚本敦美:口腔ケアのアセスメントおよびケア方法概論(1)口腔のアセスメント.8020推進財団編,入院患者に対するオーラルマネジメント,8020推進財団,東京,2008:12.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社