吸引カテーテルを挿入する長さは?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。

 

今回は「吸引カテーテルの挿入」に関するQ&Aです。

 

露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)

 

吸引カテーテルを挿入する長さは?

 

吸引カテーテルは、気管分岐部直上まで挿入します。気管チューブは、気管分岐部の3~5cm上に先端が来るように留置されていますから、気管チューブと吸引カテーテルの目盛りを使用して、挿入の長さを調節しましょう。

 

〈目次〉

 

適正な挿入長

吸引カテーテルを挿入する長さは、気管分岐部直上までである(図1

 

図1カテーテル挿入の長さ

 

気管チューブは、気管分岐部から3~5cm上に先端が来るように留置されている。胸部X線で気管チューブの位置を確認し、先端から気管分岐部まで何cmかをあらかじめ確認しておく。

 

挿入の長さは、気管チューブと吸引カテーテルの目盛りを使用して調節する。双方の目盛りが合ったところ(=気管チューブと吸引カテーテルの先端が同じ位置になるところ:図2)から、あらかじめ確認しておいた気管分岐部までの長さの分(通常は2~3cm)だけ吸引カテーテルを挿入する。

 

図2挿入長の確認方法

 

深く挿入しすぎたときの合併症

1無気肺

気管分岐部を越えて挿入すると、片肺吸引となる。その際、多くは右の気管支に挿入される(気管は右のほうが鈍角であるため)。

 

気管分岐部を越えて最初の分岐(右上葉枝)で吸引圧をかけると、本来最も無気肺を起こしにくい肺野が無気肺となることがある。

 

2出血・肉芽形成

吸引カテーテルを長く挿入し、コツンと当たる感触がする部位は気管分岐部である。そこを何度も突くと出血する。分泌物に鮮血が混入したら気管損傷を疑い、挿入長を再確認する。

 

気管分岐部に刺激が加わり続けると、肉芽が形成され、気道狭窄の原因となる。

 


[文献]

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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