暑い時はどんな方法で体温を維持するの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は暑い時の体温調整について説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
暑い時はどんな方法で体温を維持するの?
外気温が暑い場合、体温調節中枢から出される指令は、熱をどんどん放出せよというものです。
まず、寒い時とは反対に、毛細血管が拡張して末端の血流を活発にします。これによって皮膚表面から熱が逃げやすくなります。
次に行われるのは発汗です。汗が皮膚表面で蒸発する時、皮膚から熱を奪うため(気化熱)、体温が下がります。
しかし、外部環境が体温調節能力をしのぐほど高温であれば、放熱量が追いつかずに体温は上がったままになります。こうした状態が熱中症です。
メモ1熱中症
高温多湿の場所で激しく運動をしたり、炎天下にエアコンのない車内に居続けたりして起きます。
体内に蓄えられる熱量に比べて放熱量が追いつかず、脱力感、めまい、頭痛、吐き気、精神錯乱などをきたし、重篤な場合は死に至ることがあります。
メモ2体熱の放出
体熱の放出には、放射(輻射)、伝導、対流、蒸発の4つの方法があります。
放射は赤外線の形で皮膚から放散され、全熱放射量の50~60%に相当します。伝導は熱が直接伝わることで体熱が放出されます。対流は空気の動きによって伝わること、蒸発は発汗による熱の放出(気化熱)です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版