寒い時はどんな方法で体温を維持するの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

今回は寒い時の体温調節について説明します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

寒い時はどんな方法で体温を維持するの?

暖かな部屋から吹雪のなかに足を踏み出したとき、私たちの身体のなかではどのような変化が起きているのでしょう。急に体温よりも寒い環境に置かれたわけですから、視床下部には身体が冷えつつあるぞという情報が送られます。すると、視床下部は2つの指令を出します。

 

1つは、できるだけ体内の熱を逃がさないようにしろという指令です。そしてもう1つは、体内で急いで熱をつくり出せという指令です。

 

熱を逃がさないようにするための反応は、毛細血管で起こります。毛細血管を収縮させ、末端に血液が流れないようにするのです。これにより、皮膚表面や末端から熱が放出されにくくなります。

 

また、寒いときに鳥肌が立つことがありますが、これは毛根にある立毛筋が収縮するためです。かつて祖先が体毛でおおわれていた時代、毛を直立させて体のまわりの空気層を増やし、寒さから身を守っていたときの名残です。

 

一方、熱をつくり出すほうの指令は筋に伝わります。寒いときに震えるのは、熱をつくり出すため、体温調節中枢からの指令で筋が収縮を繰り返すからです。

 

※編集部注※

当記事は、2019年4月22日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ