穿刺針|ドレナージに用いられる器具 | ドレーン・カテーテル・チューブ管理
『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は穿刺針について説明します。
野家 環
NTT東日本関東病院外科主任医長/手術部長
Point
〈目次〉
穿刺針を必要とする状況
穿刺針は、ドレナージを必要とする液体または気体が貯留する閉鎖された腔に、切開解放を行わずに到達するためのルート作成に必要とされる。
ほとんどは経皮的にドレナージを行うが、開腹手術中に、例えば肝表から肝内胆管を穿刺し胆管ドレナージを行うなどの場合もある。
穿刺針の種類と特徴
ドレナージの方法により、用いられる穿刺針の種類は異なる。
ドレナージの方法は、「ガイドワイヤーを使用する方法」と、キット製品を使用する「1ステップドレナージ法」の、大きく2つに分けられる。
それぞれの穿刺針の特徴やドレナージ部位の比較を表1に示す。
1ガイドワイヤーを使用する方法
この方法は、的となるドレナージ目標内腔が比較的小さい場合に用いられる。
代表例は、経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD、PTCD)、経皮的腎瘻造設などである。
PTBDに用いる穿刺針を図1に示す。
ドレナージ方法の具体的な手技については、『経皮的ドレナージの方法と処置』を参照されたい。
21ステップドレナージ法
1回の穿刺刺入操作でドレーンを留置できることから、ガイドワイヤーを使う方法と対比して、「1ステップドレナージ法」と呼ばれる。
代表例は、胸腔ドレナージのためのトロッカーカテーテル挿入、経皮的膀胱瘻造設などである。
この方法は、ドレナージ目標の腔が大きい場合に可能で、各目的に応じた特殊なキットが製造販売されている。胸腔トロッカー用穿刺針のほか、経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)、肝膿瘍ドレナージ、CTガイド下ドレナージなどで汎用される「スケータードレナージカテーテルセット」などがある(図2)。
シース(MEMO)を用いた1ステップドレナージと同様の方法もあり、内視鏡的胃瘻造設や経皮的膀胱瘻造設(図3)などのキットがある。
この場合、まず穿刺針(内套)のまわりにドレナージチューブの代わりにシースがかぶせられたものを、1ステップドレナージと同様に穿刺する。次に、シースを残して内套を抜去したのち、シースの中にドレナージチューブを深く挿入し、シース(ピールオフタイプ)を分割抜去してチューブを留置する。
トロッカーカテーテルを用いたドレナージ方法の具体的な手技については、『経皮的ドレナージの方法と処置』図4を参照されたい。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社
[出典] 『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版』 (編著)窪田敬一/2015年7月刊行/ 株式会社照林社