月経はどのようにして起きるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は月経に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
月経はどのようにして起きるの?
女性が一生のうちに供給できる卵子は、すべて胎児の間に出来上がっています。
しかし、この時期の未熟な卵子は原始卵胞という袋に包まれた状態のまま、身体が性的な成熟を迎えるまでじっと休んでいます。
思春期になると、下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が始まり、休んでいた卵細胞が活動し始めます。
卵胞細胞を含む原始卵胞は、発育卵胞、胞状卵胞、グラーフ(成熟)卵胞という順序で成熟し、成熟した卵子は卵胞を押し破って卵巣から排出されます。これが排卵です(卵巣周期、図1)。
図1卵巣周期
排卵が起きると、それまで卵子を包んでいた卵胞が黄体に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し始めます。黄体ホルモンは、受精卵を育てるために子宮内膜を増殖させるのが仕事です。すなわち、受精卵を着床する準備が始まるわけです。
ところが、排卵されたものの受精しなかった卵子は、約24時間(12~36時間)で死滅し、吸収されてしまいます。そうなると、受精卵のベッド(子宮内膜)は必要なくなるため、排卵から14日ほど経つと黄体は月経黄体(偽黄体)になり、さらに萎縮して白体に変化します。
このとき、プロゲステロンも分泌されなくなるので、増殖して厚みを増した子宮内膜を維持できなくなります。その結果、肥厚した部分が剥がれ落ち、出血とともに腟から排出されます(月経)。
この周期を月経周期といいます。卵巣周期と月経周期をあわせて性周期といいます(図2)。
図2性周期(卵巣周期と月経周期)
MEMOグラーフ(成熟)卵胞
性腺刺激ホルモンの刺激を受けて成熟した卵胞。成熟すると卵巣の表面に移動し、卵巣の一部が盛り上がったようになります。
※編集部注※
当記事は、2018年6月18日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版