睡眠中の発汗が多くなるのはなぜ?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「睡眠中の発汗」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

睡眠中の発汗が多くなるのはなぜ?

睡眠中は筋の運動がほとんど行われないので、骨格筋による熱の産生が減り、エネルギー代謝は安静時に比べて20%低下します。このとき、昼間と同じ体温を維持するなら、エネルギー代謝を高める必要があります。しかし、睡眠中は明日へのエネルギーを蓄える時間帯です。できるかぎり生体の活動を控え、代謝活動を低く抑えないと内部環境の再調整は円滑に運びません。すなわち、良質な睡眠を得るためには体温を下げる必要があります。

 

体温調節を行うのは、視床下部にある体温調節中枢です。体温調節中枢は睡眠中の最低体温設定温度(セットポイント)というものを定め、睡眠中は、ここまで体温を下げなさいという指令を出します。その結果、体内にたまっていた熱を放出するために発汗するのです。入眠後2~3時間の寝入りばなに汗をかきやすいのは、睡眠中にふさわしい体温にまで、早めに下げる必要があるからです。

 

MEMO睡眠と尿量

睡眠中には尿量が減ります。睡眠中は代謝が低下するため老廃物の量が減り、また腎血流量が減って、糸球体の濃縮機能が亢進します。起床時に排泄される尿は、濃縮されたものです。

 

※編集部注※

当記事は、2018年5月14日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ