安静はなぜ必要なの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「安静」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
安静はなぜ必要なの?
安静は筋に負担のかからない状態のことです。ほとんどの場合、身体を横たえた姿勢で安静になります。臥位は立位に比べて重心が低く、支持基底面積が広くなっているので安定性が増します。また、自律神経では副交感神経が優位になり、身体は闘争状態ではなく緩和状態に入ります。
こうした状態では消費エネルギーが最小になり、たとえ全身の衰弱があっても、生命を維持するためのエネルギーを最小にとどめることがきます。
安静を必要とするのは、栄養状態が悪い場合、呼吸状態や心臓が悪い場合、腎機能が悪い場合、発熱している場合、血圧が高い場合、出血しやすい場合などです。
安静にして仰臥することにより、酸素消費量は200~240mL/分と歩行時の約1/3に減り、肺の仕事量が減って呼吸が楽になります。
また、立位と比べて重力の影響を受けなくなりますので、心臓に戻る血液量が増え、結果的に心臓の仕事量を減らすことができます。心拍出量が増えるため、心拍数は立位より10~15回/分少なくなります。
MEMO支持基底面積
身体を支持するための、両側の足底部と、足底部間の領域を合計した面積のこと。足をそろえて立っている場合は、足の面積が支持基底面積になります。足を開いて立ったり、片足を前に出して立つと、この面積はさらに広くなって安定性を増します。
※編集部注※
当記事は、2018年4月23日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版