運動神経はどこを通っているの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「錐体路と錐体外路」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
運動神経はどこを通っているの?
中枢神経からの指令を骨格筋に伝えるのが運動神経です。大脳皮質から出された骨格筋への指令は、中枢神経内の錐体路または錐体外路を通り、さらに運動神経を通って作動器(筋線維)へと伝えられます。
錐体路は、大脳皮質の運動領の巨大錐体細胞から起こり、延髄の錐体という場所を神経線維群が束になって通っています。大脳皮質からの指令は、脳幹→末梢神経(運動神経)→筋の接合部というルートで伝達され、筋の収縮を起こします。
左右の大脳から来た指令は延髄の下部で交叉し、左大脳は右半身、右大脳は左半身の運動を支配することになります。これを錐体交叉(すいたいこうさ)といいます。
運動刺激の通り道には、錐体路のほかにもう1つの通り道があります。それが、錐体外路です。
錐体路がメインの骨格筋に対して指令を伝えるのに対し、錐体外路はそれらの筋が滑らかにバランスよく動くよう、運動の細かな調節を無意識的に行います。
例えば「歩く」という運動を行う時、膝の内側の筋肉を収縮させたり、反対の足で体重移動を行ったりするなど、錐体路を補う形で働くことで、足の運びがスムーズになり、ふらつかずに歩くことができるのです。
また、錐体外路は錐体路に何らかの障害が生じた時に、ある程度、指令の伝達を代行することができます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版