細胞はどのように栄養を取り込むの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は細胞と栄養に関するQ&Aです。
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山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
細胞はどのように栄養を取り込むの?
図1細胞の構造
細胞膜は二重になった脂質の層でできており、小さな孔(あな)から物質が吸い込まれたり、吐き出されたりする仕組みになっています。核は細胞の制御中枢で、DNAに組み込まれたプログラムにより、細胞分裂や遺伝子情報の伝達が行われています。
細胞質は核を取り囲むようにしている物質です。サイトゾルという半透明の液体と、細胞小器官〔ミトコンドリア、リソソーム(水解小体)、ゴルジ装置、小胞体、中心体など〕、などから成り立っています。
細胞質のうち代謝にかかわっているのが細胞小器官で、なかでも重要な働きをしているのはミトコンドリアです。ミトコンドリアは酸素を取り込んでATPの大部分を供給しており、エネルギーの供給所、細胞の発電所ともよばれます。肝臓や筋などエネルギーを多く必要とする細胞には、ミトコンドリアが多く存在しています。
これらの細胞が栄養を取り込むためには、細胞と細胞の間にある組織液(組織間液)が必須になります。
組織液は毛細血管から染み出した液体成分で、この中に栄養素や酸素が溶け込んでいます。細胞と組織液との間では、浸透圧の原理により、細胞膜を通して濃度の薄いほうから濃いほうへと物質が移動します。
こうして組織液から細胞に酸素と栄養素が送られ、細胞から組織液に二酸化炭素と老廃物が排出されます。
MEMO浸透圧
濃度の異なる2つの溶液が細胞膜などの半透膜(低分子物質が自由に通り抜けられる膜)を挟んでいるとき、圧差により濃度が同じになるまで低分子物質が移動する性質。
※編集部注※
当記事は、2017年1月26日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版