排尿を我慢できるのはなぜ?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「排尿のコントロール」に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
排尿を我慢できるのはなぜ?
電車に乗っているときや会議中など、尿意を感じても排尿を我慢することができます。その理由は排尿に関係する筋には随意筋(ずいいきん)が含まれているからです。
大脳が判断して行う蓄尿の機序を考えてみましょう。
膀胱にたまった尿の量が400mLを超えると、膀胱内圧が急激に上昇します。この刺激は、脊髄感覚神経を介して排尿中枢に伝わります。このとき、下腹神経を介して膀胱壁を弛緩させるとともに、内尿道括約筋を収縮させる反射が起こります。
すなわち、大脳が一時的に尿をためたままの状態でいようと判断し、その結果として蓄尿されることになったわけです。そのとき、陰部神経も反射的に興奮して外尿道括約筋を収縮させ、排尿は抑えられます。
外尿道括約筋は随意筋ですから、自己の意思で収縮させたり、弛緩させたりすることもできます。強い尿意を感じても排尿を我慢することができるのは、外尿道括約筋を収縮させて排尿を抑制しているためです。
排尿を我慢した後に排尿しようとしてもすぐに出ないのは、多量の尿によって弛緩していた膀胱の筋肉が、収縮を始めるまでに時間がかかるからです。
※編集部注※
当記事は、2016年12月15日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版