排尿はどのような仕組みで行われるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は「排尿のしくみ」に関するQ&Aです。

 

[前回]

尿道は男女でどのように異なるの?

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

排尿はどのような仕組みで行われるの?

尿は左右の尿管から、一定の速度で少量ずつ膀胱内に流れ込みます。しかし、尿が流れ込んだからといって必ずしも尿意を感じるわけではありません。これは、膀胱内に300mLほどの尿がたまるまでの間、膀胱内圧が変化しないからです。

 

膀胱内の尿が400mLを超えると、膀胱内圧が急激に上昇します。すると、膀胱壁が引き伸ばされ、壁にある伸展受容器が刺激されます。この刺激が脊髄から脳幹の排尿中枢に伝わり、さらに大脳皮質を通って脊髄(仙髄)の排尿中枢に伝えられます(図1)。

 

図1排尿の仕組み

排尿の仕組み

 

大脳で排尿をしようと決めると、その刺激は膀胱の排尿筋(平滑筋)を収縮させるとともに、不随意筋の内尿道括約筋を弛緩させます。さらに、随意筋である外尿道括約筋を弛緩させ、腹圧をかけることによって排尿に至ります。

 

COLUMN脊髄損傷と排尿異常

排尿を促す神経は仙髄から出ている骨盤神経です。腰髄(ようずい)からの下腹神経は排尿を抑制するように働きます。この2つの神経は、膀胱平滑筋や膀胱括約筋を支配しています。また、仙髄から出ている陰部神経は、尿道に出てきた尿を外尿道口に強く押し出すように働きます。これらの神経を統合的に調節しているのが、幹の排尿中枢であり、さらにその上位の大脳皮質です。

 

したがって、脊髄の上方に損傷を受けると、これらの抑制的支配がなくなって骨盤神経の支配のみを受けることになるため、排尿反射が起きやすくなります。仙髄に損傷を受けると排尿反射が起こらなくなり、排尿困難を生じます。

 

※編集部注※

当記事は、2016年12月12日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

排尿を我慢できるのはなぜ?

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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