肝腎コントラストのエコー像
画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
[前回の内容]
今回は、「肝腎コントラストのエコー像」についてのお話です。
加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)
肝臓に脂肪が蓄積すると危険なことがわかりましたか?
肝臓は沈黙の臓器と言われますから、普段から規則正しい生活を送りましょうね。
仕事を頑張るとお腹がすいて、ついつい高カロリーのものを食べたくなります。
疲れて帰った後に飲むビールもすごく美味しいし、いつも飲み過ぎてしまいます(笑)
・・・お酒は控えましょうね。
肝臓と腎臓がはっきりと区別できるエコー像を用意しましたので、正常なヒトのものと比べてみてください。
〈目次〉
肝腎コントラストのエコー像
肝腎コントラストは、肝臓に脂肪が蓄積しているかどうかを診るための検査です。これは、脂肪が蓄積しやすい肝臓と、脂肪が蓄積しない腎臓のエコー像を比較することで判別します。
検査自体は、肝臓と腎臓のエコー強度の差を見るだけのため、判断は比較的容易です。
まずは、肝腎のコントラストがない正常な画像を紹介します(図1)。
図1肝腎コントラストがない例
次に、肝腎のコントラストがある画像を紹介します(図2)。
図2肝腎コントラストがある例
エコー検査の準備
肝腎コントラストを見るための検査は、基本的に、他のエコー検査を行っている過程で見ます。このため、この検査を目的とした準備はありません。
エコー検査の準備は、他項目と同様で、表1の①~⑤の準備を行いましょう。
表1検査前に準備すべきこと
① | 患者さんに仰臥位で寝てもらいます。 |
② | エコー機器を患者さんの右側、頭側に設置します。 |
③ | 服にゼリーがつかないように、胸の位置まで服をしっかりとまくり上げます。女性の場合、必要時以外は胸にタオルをかけましょう。 |
④ | 医師がエコー画面を見やすいように電気を消します。 |
⑤ | 検査終了後にゼリーを拭けるようにタオルなどを準備しておきましょう。 |
検査後の片付け
肝腎コントラストだけを目的とした検査は通常ありませんので、検査後の片付けは他項目を参照ください。
申し送り時のポイント
肝腎のコントラストがない場合は、申し送る必要はありません。コントラストがあった場合は、その旨を伝えると良いでしょう。
申し送り例
エコー検査の結果、肝腎のコントラストがありました。
そのため、肝臓の脂肪化(脂肪肝)が疑われます。
記録記入時のポイント
肝腎のコントラストがない場合は、記録する必要はありません。コントラストがあった場合は、記載を残しておくと良いでしょう。
Check Point
- 肝腎コントラストは、肝臓と腎臓がエコーに映っているかを見るだけの検査です。
- 申し送り時は、肝腎のコントラストがあった場合は伝えましょう。
- 看護記録には、肝腎のコントラストがあった場合は記載しましょう。
- 脂肪肝を判断する肝腎コントラスト
- ⇒『初めてのエコー(超音波)検査』の【総目次】を見る
[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科
Illustration:田中博志