筋肉疲労はなぜ起きるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「筋肉疲労」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

筋肉疲労はなぜ起きるの?

筋肉が収縮する時には、ブドウ糖酸素が大量に必要になります。エネルギーを作り出すアデノシン三リン酸(ATP)を再合成するために、この2つの物質が欠かせないからです。

 

筋肉が収縮する時には、アクチンがミオシンと結合して動きますが(「骨格筋はどのようにして収縮するの?」参照)、この時にATPを必要とします。このATPが不足するのが疲労の大きな原因です。 

 

運動中にブドウ糖が不足すると、バックアップ機構が働くため、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンがブドウ糖になり、これを補給します。しかし、この反応を行う時に酸素が不足していると、グリコーゲンはブドウ糖ではなく乳酸に分解されてしまいます。せっかく蓄えておいたエネルギーの素が無駄になってしまうのです。それどころか、乳酸は筋肉を疲労させます。 

 

このように糖質の供給、グリコーゲンの蓄積、グリコーゲン分解酵素、酸素の供給などのどこかに障害があると、乳酸などの筋疲労物質が生じます。

 

そして筋疲労物質が排出されずに蓄積することで、凝りや張り、痛みなどが生じます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ