胃はどのような働きをしているの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「胃の働き」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
胃はどのような働きをしているの?
胃が果たしている役割は、攪拌(かくはん)と貯蔵です。すなわち、胃のなかで食物と胃液をよく混ぜ合わせて粥状(じゅくじょう)にし、十二指腸の消化の進み具合に合わせて食物を一時的に蓄えます。
胃に入った食物のうち、液体はすぐに十二指腸に送られますが、ほとんどの食塊は胃にとどまります。このとき、胃で起こるのが蠕動運動です。食物自身の重みで胃壁が引き伸ばされると、胃の蠕動(ぜんどう)運動が始まります。筋肉をしごくように動かすことで、食塊と胃液がよく混ざり合い、殺菌されながら次第に攪拌されて粥状になります。
胃の蠕動運動で十分に胃液が分泌されないと、殺菌や攪拌が不十分なまま内容物が十二指腸に送られることになります。
胃の内容物が十二指腸に送られるのに要する時間は、3~6時間です。胃の停滞時間が最も短いのは糖質食で、次いでタンパク質食、脂肪食の順になります。
※編集部注※
当記事は、2016年9月5日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版