看護師を対象とした派遣会社が存在する反面、ネット上には「看護師の派遣は違法。禁止のはず」という意見がちらほらとあります。

結論から言うと、看護師派遣は合法です。ただ、確かに以前は法律で禁止されていた期間がありましたし、今でも違法となる面もあります。

なぜ、過去に禁止されていた看護師派遣が解禁されたのか、どんな場合に合法なのか。詳しく解説していきます。

Point!

  • 看護師派遣は違法ではない
  • 産休代替・紹介予定派遣のみ、看護師派遣が認められている
  • 2021年4月以降は、さらに派遣先が拡大

看護師派遣は2000年代になって一部解禁された

医療分野での派遣が解禁されたのは、つい最近のこと。2003年から2006年にかけて行われた派遣法改正により、看護師を含む医療業務の派遣が可能となりました

法改正以降、派遣で働くナースが急速に増えましたが、まだまだ看護師派遣が解禁された事実を知らない看護師さんは、多いのかもしれません。

なお、看護師派遣は全面的に解禁されたわけではなく、一定の条件を満たす場合に限られます

医療機関で働けるのは産休代替・紹介予定派遣のみ

まず、病院やクリニックといった「医療機関」での看護師派遣が認められるのは、下記のいずれかに該当する場合のみです。

  • 産休・育休中のスタッフの代替として業務にあたる場合
  • 紹介予定派遣(派遣期間終了後の直接雇用を前提とした派遣)の場合

現状、医療機関の派遣求人で多いのは、1番目の産休・育休中の代理としての派遣。1年~1年3ヶ月程度、代替する人の休業期間に合わせて働くことになります。

なお、「医療機関」には助産所老健(介護老人保健施設)、患者の自宅(訪問看護)なども含まれます。

医療機関以外なら、広く看護師派遣が認められている

下記のような「医療機関以外」の施設であれば、産休代替・紹介予定派遣に該当しない場合でも、広く看護師派遣が許可されています

  • 有料老人ホーム
  • デイサービス
  • 特別養護老人ホーム
  • 社会福祉施設(保護施設 児童福祉施設 障害者施設など)
  • 保育園

2021年4月からは派遣先がさらに拡大

2021年4月の法改正によって、派遣看護師として働ける場所がさらに拡大しました。具体的には、下記の2つが新たに加わっています。

  1. へき地の医療機関
  2. 社会福祉施設等への「日雇派遣

へき地」には、日本各地の離島や過疎地域などが該当します。

また、社会福祉施設についてはこれまでも看護師派遣が認められていましたが、法改正以降は派遣雇用契約期間が31日未満の、いわゆる「日雇派遣」についても解禁されています。

保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二条、第三条、第五条、第六条及び第三十一条第二項に規定する業務(他の法令の規定により、同条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務を含み、病院等、助産所、介護老人保健施設又は居宅において行われるもの(介護保険法第八条第三項に規定する訪問入浴介護及び同法第八条の二第三項に規定する介護予防訪問入浴介護に係るものを除く。)に限る。

※労働者派遣事業の適切な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号)より

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