転職に「失敗」する看護師はどれくらい? 看護師が転職に「失敗」しないために大切な4つのこと
看護師は転職しやすいと言われていても、「失敗」してしまうのが怖くて、なかなか踏み出せない人は少なくありません。
実際のところ、転職に「失敗」してしまうことはあるのでしょうか?
また「失敗」しないためにできることはないのでしょうか?
目次
転職に「失敗」する看護師はどれくらい?
約12%の看護師が転職に「失敗」したと感じている
看護roo!が実施したアンケート調査によると、転職手段にかかわらず、一度は転職した経験のある看護師のうち「転職に『失敗』した」あるいは「どちらかというと転職に『失敗』した」と答えた人はあわせて12.2%でした(※)。
約8人に1人が多少なりとも「失敗」と感じているという計算になりますが、「転職に『成功』した」あるいは「どちらかというと転職に『成功』した」と答えた74%に比べると、少数派です。
※アンケートについて
・転職サポートサービスを提供する看護roo!が、転職活動における悩みや転職のきっかけなどについてのアンケートを実施。
・アンケート対象者は看護roo!会員のうち、3年以内に転職経験のある看護師・准看護師。転職手段は「自己応募」「転職サポート」「ハローワーク」「知人の紹介」など、さまざまなものを含みます。
・実施時期:2022年7月
・回答者数:1,338人
転職は誰しも不安を感じてしまうもの。
ただ、実際に「失敗」してしまう可能性が高いわけではないため、むやみに心配する必要はありません。
この先は、看護師さんが転職を「失敗」と感じてしまう理由や「失敗」した原因、そうならないための対策を見ていきましょう。
何が理由で転職に「失敗」したと感じるの?
「転職に『失敗』した」あるいは「どちらかというと転職に 『失敗』した」看護師さんが、転職先で不満に思っているポイントは下記の通り。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1位:仕事内容
転職後に不満を感じるポイントとして最も多かったのが「仕事内容」に関するものです。
転職前から覚悟できていたつもりでも、思った以上に仕事がルーティン業務ばかりだったとき、「看護業務」以外の雑用が多かったときなどに「スキルアップできない」「やりがいがない」といった不満を感じやすいようです。
▼「失敗」と思う理由は?(アンケートより)
大学病院→療養型病院(28歳・女性)
もともと大学病院で働いていてとてもやりがいを感じていたが、今後のライフプランを考えて療養型病院に転職した結果、仕事にやりがいを感じられなくなった。
一般病院→一般病院(31歳・女性)
スキルアップを目指していたが、病院全体の体制や考え方が古く、新たなスキルを身につけられない。ただ前職より忙しくなっただけ。
2位:給料
次に多かったのが、転職先の「給料」に関する不満。
とくに病院からクリニックに転職した場合などは、夜勤がなくなる分手当が減ってしまいます。
転職前から頭ではわかっていたつもりでも、実際に給与明細を見ると、その落差に驚き悩む人は少なくありません。
看護roo!転職サポートのキャリアアドバイザーによると、日勤のみの看護師さんの給料は、夜勤がある看護師さんに比べ、年収にしておおよそ50万~100万円ほど下がるとのことです。
かなり大きな金額なので、夜勤をしていたときとは生活スタイルを変えなくてはいけないことも。
日常の我慢がストレスとなり、転職を後悔してしまうこともあるでしょう。
▼「失敗」と思う理由は?(アンケートより)
その他(日勤のみ)→クリニック(美容以外)(34歳・女性)
クリニックだから仕方ないが給料が激減した。業務が単調でやりがいがなく、自分のスキルアップに繋がらない。
介護施設系(夜勤あり)→介護施設系(日勤のみ)(57歳・女性)
昇給がなくなった。当たり前だけど、夜勤がないので手取りも減った。毎月の総支給額が、前職の基本給と変わらない。
3位:人間関係
転職を「失敗」と感じてしまうポイントとして、3位にランクインしたのは「人間関係」です。
誰しも新しい環境に適応するには時間がかかるものです。
ただ、前の職場で培った経験がある分、仕事の進め方や看護観について、新しい上司やプリセプターと意見が合わずにストレスを感じてしまうことが少なくありません。
また、介護施設では介護士、クリニックでは院長など、他職種との人間関係に悩むケースもあるようです。
▼「失敗」と思う理由は?(アンケートより)
一般病院→一般病院(37歳・女性)
上司、スタッフはとにかく常識のない人ばかり。指導者らしからぬ言動に対しても、我慢するしかありません。
総合病院→一般病院(34歳・女性)
スタッフの年齢層が高く、考え方が古いと感じる場面が多くなじめない。上司とも看護観が合わない。
4位:聞いていた話とのギャップ
(転職前に)「聞いていた話と違った」ことを理由に、転職に「失敗」したと感じる人も多いようです。
ギャップを感じた内容は仕事内容や勤務体制、給料やボーナスの金額などさまざま。
たしかに、事前に案内されていた内容と実態が大きく違えば、誰しも不安や怒りを覚えるでしょう。
まして、例えば「残業を減らす目的で『残業少なめ』と聞いていたのに、実際は残業が多かった」といった場合、もはや転職した意味がなくなり、辞めたくなってしまうのも無理はありません。
他にも、アンケートでは「希望した部署からすぐに異動になった」「休みを取りやすいと聞いていたが、違った」「提示されていた金額よりもボーナスが低かった」といった声が上がっています。
▼「失敗」と思う理由は?(アンケートより)
大学病院→クリニック(美容以外)(26歳・女性)
日勤だけで夜勤やオンコールがなく、ワークライフバランスを取りやすいと聞いていたが、実際に働いてみると「連休が取りづらい」「申請していても直前で変更される」といった実態が見えてきた。
クリニック(美容以外)→一般病院(38歳・女性)
面接で希望の科に配属できると言われたが、実際入ったら全く違う科だった。
5位:病院の方針・看護観
転職先の「病院の方針・看護観」に納得できず、転職を「失敗」と感じるケースもあります。
人間関係に関する悩みとも重なりますが、こちらの場合は特定のスタッフだけではなく、病院全体の考え方や看護観が自分に合わず、働きづらさを感じるケースです。
例えば「他職種との連携方法」「安全衛生管理に対する考え方」といった病院全体に関わることは、自分一人の力ではどうにもできないことも多いもの。
改善されないまま不満だけが大きくなってしまうこともあります。
▼「失敗」と思う理由は?(アンケートより)
総合病院→総合病院(28歳・女性)
自分なりの看護を実践しようと意見を伝えても「うちの病院はこのやり方でやってきたから」などと言われ、全く意見が通らない。
総合病院→一般病院(31歳・女性)
田舎の病院のため、新しい知識が受け入れられず、旧態依然としているから。
転職に「失敗」する人と「成功」する人の違いは?
転職を「失敗」と感じてしまう看護師さんと「成功」する看護師さんとでは、どんな違いがあるのでしょうか?
「成功」する人がやっている4つのこと
看護roo!が実施したアンケートによると、転職に「成功」する看護師さんは転職活動中、「失敗」する看護師さんに比べ、ある4つの取り組みを積極的に行っていたことがわかりました。
具体的には下記の通りです。
転職を「失敗」と感じてしまう看護師さんは逆に、上記の取り組みが不十分だった可能性があります。
具体的にどんなことをすればいいのか、詳しくは下記の記事をご確認ください。
転職に「失敗」したと思ったら…?
まずは半年頑張ってみる
残念ながら、どれだけ事前に対策しても、転職後に「失敗した」と後悔するリスクはゼロではありません。
転職前には予想もしていなかったことが起きて、戸惑うこともあるでしょう。
その際、すぐにまた辞めてしまう前に、ひとまず半年は働き続けてみて、状況が改善されないか様子を見てみましょう。
誰しも新しい環境に慣れるまでには時間がかかるからです。
また、状況を改善するためのアクションができないか検討することも大切です。
具体的には、下記のような方法があります。
- 先輩や上司に相談する
- 異動する
- 勤務形態を変更する
まずは先輩や上司に相談し、それでも状況が改善されない場合は、異動や勤務形態の変更ができないか考えます。
それも難しく、やはり働き続けることが難しい場合、より自分に合った職場がないか、改めて転職を検討しましょう。
短期で離職するリスクも理解しておく
「心機一転頑張ろう」と張り切っていたのにもかかわらず、転職に「失敗」してしまったときのショックは計りきれません。
すぐにでも辞めて、すべてをリセットしたくなってしまうこともあるでしょう。
ただ、現実問題、転職して間もないタイミングで再び離職することは、採用側に良い印象を持たれません。
結果、受け入れてもらえる転職先の選択肢が狭まり、転職活動が長期化するリスクもあります。
そうならないためにも、転職先でもう少し頑張れないか冷静に考えてみることが大切です。
そもそも内定が出ないときは?
転職に「失敗」してしまわないかという不安とは別に、そもそも面接をしても内定が出ないことに悩むこともあるでしょう。
いわば転職活動自体の「失敗」です。
転職活動の中でも、とくに面接に苦戦する人の特徴として、下記のようなものが挙げられます。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
表情や声のトーンが暗い
「表情や声のトーンが暗い」という理由で、面接の評価が低くなってしまうケースは少なくありません。
看護師はチーム医療で他のスタッフと協力しながら、患者やその家族と密に関わる仕事。
よって、面接中に「下を向いてぼそぼそと小さな声で話す」「相手の目を見て話せない」といったコミュニケーションが苦手な面が強く出てしまうと、マイナス評価につながってしまう可能性があります。
面接中は背筋を伸ばし、明るくはっきりとした声で話すように努めましょう。
面接のマナーや立ち居振る舞いについては、下記の記事で解説しています。
今の(前の)職場についてネガティブな発言が多い
内定が出ない理由として「今の(前の)職場についてネガティブな発言が多い」ことも挙げられます。
たしかに現実問題、頑張ろうにもどうにもできないほど辛い職場もあるでしょう。
ただ、それをそのままストレートに「教育体制が整っておらず、先輩から指導してもらえなかった」「人手不足で業務量は増えていくのに、それに見合った給料がもらえなかった」などと伝えてしまうのはNG。
問題の原因を他人のせいにする「他責」の思考が強いと思われ、チームワークで仕事を進める能力を疑われかねません。
たとえ事実であっても、今の(前の)職場の不平不満を伝えるのではなく「自分でも改善の努力を続けた」「自分にも落ち度があった」などと自責の念を伝えましょう。
また、志望動機を聞かれた際も、今の(前の)職場に対する不平不満をベースに伝えるのではなく「◯◯にチャレンジしたいと思った」「貴院の△△という看護観に惹かれた」といった、志望先に対する前向きな思いを中心に伝えましょう。
志望動機を伝えるときのポイントと例文は、下記の記事で紹介しています。
転職(退職)理由をうまく説明できていない
「転職(退職)理由をうまく説明できていない」人も、内定が出にくいと言えます。
とくに回復期の病院から急性期の病院に転職するときや、病院から介護施設に転職するときなど、仕事内容や働き方が大きく変わる転職では要注意。
どうしてそうしたキャリアチェンジをしようと思ったのか、転職先でどのようなことに挑戦していきたいのか、きちんと自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
転職(退職)理由がうまく伝えられないと「はっきりした理由や意欲がないなら、長期的に勤務継続することが難しく、ウチもすぐに辞めてしまうのでは?」という印象を与えてしまうからです。
退職理由を伝えるときのポイントと例文は、下記の記事で紹介しています。
キャリアアドバイザー
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