採血スピッツの順番がパッとわかる!|根拠、採血管の種類も解説
「標準採血法ガイドライン(2019)」を基に、「採血スピッツに血液を入れる順番」を、パッとわかるように解説します。
監修:今泉 舞(臨床検査技師)
【一覧】採血スピッツに血液を入れる順番
※日本臨床検査標準協議会「標準採血法ガイドライン」から一部抜粋し、看護roo!編集部で作成
真空管(ホルダー)採血は、下記の順番で血液を入れます。
生化学(茶)→凝固(黒)→
血算(紫)→血糖(灰)→その他
または
凝固(黒)→生化学(茶)→
血算(紫)→血糖(灰)→その他
真空管採血では、生化学と凝固のどちらを先に採取するべきか、明確なエビデンスは得られていません。
生化学を先に採取する根拠のひとつとして、穿刺直後に、凝固する成分を含む微量の組織液が混入することにより、凝固の検査値に影響が生じる可能性があるため、凝固を1本目にすべきではないとするデータがあります。
一方で、凝固を先に採取する根拠のひとつとして、凝固検査のPT・APTTについては、1本目でも2本目でも検査結果に有意差がないとするデータがあります。
どちらも間違いではありませんが、施設のルールで順番が決まっている場合や、患者さんの状態によって検査項目の優先度が変わる場合があるので、採血前に確認しましょう。
患者さんのところに向かう前にスピッツを順番どおりに並べておくのがオススメです。
シリンジ採血は、下記の順番で血液を入れます。
凝固(黒)→血算(紫)→
血糖(灰)→生化学(茶)→その他
血液は、採血直後から凝固していく性質を持っています。
スピッツに入れるまでに時間がかかると、凝固して正確な検査値が得られなくなる可能性があります。そのため、「なるべく凝固していない状態で入れたいもの」から順番に血液を入れる必要があります。
翼状針で真空管採血をする場合は順番が変わることも
翼状針を使用して真空管採血をするときは、翼状針のチューブ内に残る血液量の分(約0.4mL)だけ、1番目のスピッツに入れる採血量が不足するので、要注意!
凝固や赤沈などの採血量を正確に守らなければならない検査では、ダミーの真空採血管でチューブ内に血液を満たしてから採血を行う方法や、ダミーを使わない場合は生化学を先に採取する方法もあります。施設のルールを確認しましょう。
採血スピッツの種類と検査内容
よく使う採血スピッツの種類と、どんな検査をするのかをチェックしましょう。
採血でどんなことを検査しているのかがわかると、スピッツの順番などもより理解しやすくなります。
執筆・編集:看護roo!編集部 小園知恵(看護師)
参考文献
- 渡邊卓編.標準採血法ガイドライン(GP4-A3).日本臨床検査標準協議会.2019,p32-33.
- 近藤一郎監.看護がみえる vol.2 臨床看護技術.メディックメディア.2021,p14-15.
- 福家幸子,山岡麗,千崎陽子著.注射・採血ができる[Web動画付].医学書院.2015,p101-102.
- 任和子ほか著.系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護学[3] 基礎看護技術Ⅱ.医学書院.2021,p410.
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