「使命感だけでは看護師はすでに限界」コロナ対応で実態調査・日看協|看護roo!ニュース

日看協・コロナ対応の実態調査「使命感だけでは看護師はすでに限界」

 

新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する中、12月22日、日本看護協会が記者会見を開きました。

 

福井トシ子会長は「使命感だけではすでに限界に近づいている」とし、疲弊する看護師への最大の支援は「これ以上、感染者を増やさないこと」だと訴えました。

 

会見では、今年の春ごろに新型コロナに対応した看護師の労働環境などについて実態調査の結果を公表。看護師の不足感など、現状では事態はもっと深刻になっていると危機感をつのらせました。

 

【調査概要】

2020年9月8日~28日、全国の看護職を対象にインターネット調査を実施。病院の看護管理者2765人をはじめ、個人の看護職3万8479人などから回答を得た。小数点以下第2位は四捨五入のため、構成比合計が100%にならない場合あり。

 

 

3割超の病院が「看護師不足」

調査によると、3割を超える病院が「看護師の不足感があった」と回答。感染症指定医療機関等では、さらにその割合が増えていました。

 

看護師の不足感はあったか?

 

しかし、看護師不足を感じてはいるものの、病棟の再編成や配置変更など、院内で対応した病院が7割近くに上り、新たな人材を採用した病院は2割ほどにとどまっていました

 

感染が拡大する中、教育や研修をする余裕がなかったり、経営的に厳しかったり、採用したくても採用できない病院側の事情もあるようです。

 

 

コロナ患者を受け入れるため、看護師の配置を変更

また、回答した2765病院のうち、6割以上の病院で新型コロナの感染者やその疑いがある患者の受け入れを行っていました。

 

新型コロナ患者を受け入れた病院のうち、4割を超える病院が病棟閉鎖などを行い、看護師の配置を変更していました。
 

さまざまな形で看護師の配置変更

 

マンパワーが不足する中、慣れない業務に従事せざるを得ない看護師が多くいることがうかがえます。

 

 

コロナ対応を理由に離職する人も

新型コロナの対応による離職者も出ています。

 

労働環境の変化や感染リスクなどを理由にした離職が「あった」と答えた病院は15.4%。感染症指定医療機関ではさらに多く、21.3%でした。

 

コロナ対応が理由の離職があったか?

 

 

2割の看護師が「差別や偏見」を経験

個人の看護師を対象にした調査では、直接的・間接的に新型コロナの対応業務を行ったと答えた看護師は57.1%

 

就業中の看護師で新型コロナに感染した人は0.2%でした。

 

また、看護師に対する差別や偏見があったと回答した看護師は約2割みられました。

 

看護師への差別や偏見はあったか?
 

 

元々、マンパワーが不足していた看護業界。新型コロナの対応が加わり、さらに過酷な状況となっています。

 

こうして大変な思いをして働いているのに、病院の経営が厳しく、減給やボーナスがカットされた病院もあります。これではモチベーションを維持するのは困難です。

 

医療を支えている看護師をはじめとする医療者が、働き続けられる労働環境の整備や財政支援が急がれます。

 

 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

 

(参考)

「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査」結果概要(日本看護協会)

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