新人ナースに聞きました「入職、研修、病棟配属…新型コロナで影響は?」

 

全国の医療機関が新型コロナウイルス感染症への対応に追われたこの春、看護師としてのスタートを切った新人ナースのみなさんには、どんな影響があったのでしょうか?

 

初出勤の日が2週間以上遅れた

新人研修が中止になってしまって不安

配属された病棟が閉鎖、すぐに他病棟に異動になった

 

――など、看護roo!の新人ナースアンケートに寄せられた声から見てみます。

 

 

【アンケート概要】

2020年5月15日~21日、全国の新人看護師(2020年の度新規入職者)を対象にインターネット調査を実施。有効回答数は1242人。勤務先は「病院(500床以上)」45.4%、「病院(300~499床)」29.3%、「病院(100~299床)」19.4%、「病院(100床未満)・有床クリニック」3.3%、「その他」2.6%。

 

 

 

「初出勤の日」は予定通り?それとも?

「初出勤の日」に新型コロナウイルスの影響があったかを尋ねました。

 

本来なら4月1日に入職・初出勤となるところですが、今年は新型コロナウイルスの影響で

「予定より遅くなった」(13.2%)、

「まだ出勤できていない」(0.9%)

というケースが起きています。

 

 

予定より遅れたという人の多くは2週間以内には出勤を開始していましたが、その一方で「4月はまるまる自宅待機だった」という人もいました。

 

 

今年の新人研修は「短縮・変更」が多数…!

また、大多数の病院では、新人研修の日程や内容が短縮・変更になったり、そもそも中止・延期になったりしています。

 

 

短縮・変更になった研修は、オリエンテーション研修や座学の講義、採血などの技術演習、マナー接遇研修など。

 

その中でも、やはり現場での業務に直結する「技術研修の中止」で不安を感じているというコメントが多く寄せられました。

 

 

  • 研修がすべて中止、必要な技術は現場で学ぶ形になって不安
  • 研修が受けられなかったので、去年の先輩が今の時期にできていたことができない
  • 十分な研修を受けずに日々業務を行なっていることがつらい
  • 行われる予定だった研修会が行われておらず、すぐに業務についているため、実務に必要な知識に抜けがある

 

 

 

新人ナースの配属先「影響あり」が約3割

研修期間を終えて、新人ナースはそれぞれの病棟・部署に配属されますが、今年はここにも新型コロナウイルスの影響が及んでいます。

 

 

27.0%の人が「新人の配属先に影響があった」と答えています。

 

影響の多くは、

 

新人ナースは、新型コロナウイルス感染症対応病棟に配属せず、異動させる

 

というもの。

 

その結果、急な配属変更や短期間での異動で新人の負担が増したり、新人の配属先が限定・集中することで配属病棟での指導の手が不足したり…という事態も起きてしまっているようです。

 

 

  • いざ配属の前日に突然、変更になってしまって気持ちが折れてしまった
  • (配属から1カ月で異動になり)また新たに人間関係を築いたり、異なる仕事内容を覚えたり勉強したりする必要があり大変
  • 新任者の数に対して(指導を担当する)先輩看護師が足りない
  • 先輩看護師が対応に追われていて、しっかりと仕事を教えてもらえていない

 

 

 

病棟での業務や夜勤のスタート、いつから?

実際に病棟での勤務を開始したり、夜勤を始めたりする時期についても尋ねました。

 

病棟での勤務は4月中から、「新型コロナで早まった」の声も

新人ナースが研修期間を終了して病棟での業務をスタートさせる時期は、ほとんどが4月のうちから。70%以上の人が4月前半には病棟で仕事を始めているという結果でした。

 

ただ、その時期については「入職前の予定より早めになった」という回答が約3割に上っています。

 

 

「技術研修がなくなって、いきなり病棟配属…」など、例年にない厳しい環境に戸惑いながら仕事に当たっている新人ナース。その不安がコメントからも伝わります。

 

 

  • 研修に人員が足らず予定より早く病棟勤務となった。また、忙しいので本来より早く仕事に慣れるよう伝えられた
  • 座学がなくなり入職2日目の午後から病棟勤務になったので、心の準備ができていなくて全てにおいて不安が多かった
  • 研修がなくなったため、すぐ病棟に配属された。研修で学ぶはずだった基礎を学べなかったため、手探りで業務しないといけない
  • 研修が全くないまま、入職して2日目から病棟での勤務が始まりました。研修していないので何をどこまでやっていいのかわからない

 

 

 

夜勤の開始は病院によってさまざま

一方で、新人ナースが夜勤を開始する時期については特に集中した回答はありませんでした。それぞれの職場によって幅があるようです。

 

 

また、夜勤開始時期について「入職前に特に聞いていない」という人も多く、新型コロナウイルスの影響があったかは、はっきりとはわかりませんでした。

 

 

同期や先輩とのコミュニケーションも制限…

このほか、「院内感染対策で、同期・先輩との会話や交流が制限されてコミュニケーションが取れない」という訴えや、「マスクなどの個人防護具が足りなくて感染が怖い」という不安の声も…。

 

 

  • 研修やコミュニケーションの場がなくなり、同期や先輩と交流できない
  • マスクなしでの会話や複数人で休憩室などにいることが禁止で、休憩中にコミュニケーションが取れず孤独感がある
  • 自粛の影響で仕事場での困惑や辛かったことを話せる場もなくなり、ストレスもたまる一方です 
  • 同期との勉強会も控えるように言われて一緒に勉強できない。食事会も叶わず、しんどい気持ちを共有するところがない
  • どんどん病棟のマスクや感染予防具の在庫が底をついていく不安感や恐怖
  • 防護服に慣れておらず、自分の感染防御ができているのかと不安

 

 

今回のアンケートでは、2020年入職の新人ナースのみなさんがどんなに大変な状況でがんばっているか、痛いほど伝わる結果となりました。

 

ただでさえ緊張と不安でいっぱいな時期にイレギュラーなことが続き、病院全体もなかなか新人指導に力を注げていないという現状。先輩ナースの中には「もっと丁寧にフォローしてあげたい…」と気に病んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

緊急事態宣言が全国的に解除されても、医療機関はまだまだ気の抜けない状況が続きます。病棟ナースのみなさんが落ち着いて研修や業務に当たれるよう、一日も早い収束が待たれます。

 

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

 

 

 

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