一人当たりの医療費、地域差があるのはなぜ?|看護roo!ニュース

医療費の地域差の傾向(2017年度の一人当たり年齢調整後医療費)/西日本で高く、東日本で低い/特に入院費で差がある

厚生労働省の「平成29年度(2017年度)医療費の地域差分析」を基に看護roo!編集部で作成

 

2017年度の一人当たりの医療費は、全国平均で56万4527円でした。

前年度と比べ、約2万円増えています。

 

最も高いのは「福岡県」(66万7044円)、最も低いのは「新潟県」(48万7487円)で、約18万円の開きがありました。

 

※「市町村国民健康保険」と「後期高齢者医療制度」の合計を、人口の年齢構成の違いで補正した金額

 

 

西日本で高く、東日本で低い傾向

過去5年間の推移を見ると、上位・下位の5県は大きく変わっていません。

 

西日本が高く、東日本で低い傾向がみられました。

 

医療費が高い・低い都道府県(2017年度の一人当たり年齢調整後医療費)/【高い5県】1:福岡県(約66.7万)、2:高知県(約66.5万)、3:佐賀県(約65.4万)、4:長崎県(約65.0万)、5:鹿児島県(約64.5万)/【低い県】1:新潟県(約48.7万)、2:岩手県(約49.9万)、3:千葉県(約50.5万)、4:栃木県(約50.6万)、5:静岡県(約50.6万)

厚生労働省の「平成29年度(2017年度)医療費の地域差分析」を基に看護roo!編集部で作成

 

 

医療費の地域差があるのはなぜ?

厚労省によると、医療費の地域差があるのは、入院費に差があることが大きく影響しているようです。

 

その背景には、人口当たりの病床数の多さが関係していると考えられます。

 

一人当たりの医療費が最も高い「福岡県」は、一般病床は全国平均並みですが、療養病床や精神病床などが多くあります。

また、2番目に高い「高知県」は総病床数が全国で一番多く、特に療養病床の多さが目立ちます。

 

逆に、最も低い「新潟県」は療養病床が少なく、一般病床や精神病床も平均以下でした。

 

病床の数が多いと入院患者が増え、医療費が高くなることにつながっていると考えられます。

 

今回のデータでも、65歳以上89歳以下の高齢者の入院費の高さが、地域差に影響していました。

 

疾患別で見ると、「精神・行動の障害」「循環器系疾患」の入院費で地域による差が大きい傾向がありました。

 

医療費の地域差に影響が大きかったのは?(2017年度の一人当たり年齢調整後医療費)/1:65歳以上89歳以下の入院費/疾患別では「精神・行動の障害」「循環器系疾患」の入院費

厚生労働省の「平成29年度(2017年度)医療費の地域差分析」を基に看護roo!編集部で作成

 

 

高齢者が増え続ける一方で、医療保険を支える現役世代が少なくなっていることから、できるだけ医療費の地域差をなくす必要があると考えられています。

 

厚労省は、診療実績が特に少ない公立・公的病院など424病院の名前を公表するなど、病院の再編や統合の検討を促す働きかけをしています。

 

今後、医療費の地域差が狭まってくる可能性は十分考えられます。
 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

平成29年度(2017年度)医療費の地域差分析(厚生労働省)

医療施設調査 / 平成30年医療施設(動態)調査 都道府県編(厚生労働省)

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