WHOが緊急事態宣言した「エボラ熱」、日本で発生するリスクは?|看護roo!ニュース

 

 

致死率が高い感染症として知られる「エボラ出血熱」

 

2019年7月18日、世界保健機関(WHO)が、アフリカ中部のコンゴ民主共和国でのエボラ熱の流行に対し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと宣言しました。

 

これまで日本で発症が確認された例はありませんが、日本でもエボラ熱が発生するリスクはあるのでしょうか?

 

 

流行中のコンゴでは約1700人が死亡

WHOによると、コンゴ民主共和国では2018年4月以降、疑いを含め2501人が感染し、そのうち1668人の死亡が確認されています(2019年7月14日現在)。

 

治療に当たっている医療従事者の間でも感染が広がっており、感染者の数は135人に及んでいます(全感染者の5%)。

 

WHO「EBOLA VIRUS DISEASE-Democratic Republic of the Congo」を基に看護roo!編集部で作成

 

また、2019年6月にはコンゴ民主共和国と隣接するウガンダでもエボラ熱の感染者が確認されました。

 

今後、さらなる感染の拡大が心配されています。

 

 

日本での発生リスクは「特段高まっていない」

WHOの緊急事態宣言を受け、国立感染症研究所は2019年7月24日、エボラ熱のウイルスが日本に持ち込まれるリスクに対し、

 

「特段高まっている状況ではない」

 

との見解を発表しました。

 

その理由として、

 

 流行地域は紛争地帯で、日本人旅行者が訪問する機会は極めて少ないこと

 コンゴ民主共和国から日本への入国者は年間500人程度(月平均40人)*であること

 

などを挙げています。

 

*2018年の訪日外国人は約3120万人

 

 

緊急事態宣言をきっかけに、発生時の対応確認

厚生労働省では、今回の緊急事態宣言をきっかけに、エボラ熱が国内で発生した場合の医療機関への搬送体制などの確認を進めています。

 

また、海外渡航者への注意喚起や、コンゴ民主共和国やウガンダからの入国者に対する健康監視の実施など、必要な検疫対応を強化するとしています。

 

 

日本に「エボラウイルス」を輸入!?

日本では2020年に東京五輪・パラリンピックの開催を控えています。

 

人の行き来が活発になることで、海外から感染症が持ち込まれるリスクが高まります。

 

国立感染症研究所では、検査や診断を正確に素早く行える態勢を整えておくため、エボラ熱など5種類の感染症の原因ウイルスを海外の研究機関から日本へ輸入する計画を進めています。

 

輸入するウイルスは、国立感染症研究所の村山庁舎にある、病原体を扱う施設として最もレベルが高いとされる「BSL4施設」で保管される予定。

 

研究目的ですが、エボラウイルスが国内に持ち込まれることになります。

 

危機管理上の理由で、時期や相手国などは公開されません。

 

国立感染症研究所村山庁舎

 

いつ、どこから、エボラウイルスが国内に持ち込まれるかもわかりませんので、医療者として国際的な流行状況や国内の対策などは知っておきたいところです。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の流行に関するリスクアセスメント(2019年7月24日現在)(国立感染症研究所)

EBOLA VIRUS DISEASE-Democratic Republic of the Congo(WHO)

コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱に関する世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言(厚生労働省)

訪日外客数 2018年12月および年間推計値(日本政府観光局)

 

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