救急搬送者が596万人超で過去最多!どんな患者が増えてるの?|看護roo!ニュース

救急車による救急搬送者の推移(※2018年は速報値)/年々増加し、600万人近くに増加/2009年:4,682,991、2010年:4,979,537、2011年:5,182,729、2012年:5,250,302、2013年:5,346,087、2014年:5,405,917、2015年:5,478,370、2016年:5,621,218、2017年:5,736,086、2018年:5,960,202

総務省消防庁「消防白書」および「平成30年中の救急出動件数等(速報値)」を基に看護roo!編集部で作成

 

救急搬送が、年々増え続けています。

 

総務省消防庁によると、2018年の救急車による救急搬送者は596万202人と過去最多。10年前と比べると、約127万人も増えています。

 

どのような患者が増えているのでしょうか。

 

 

65歳以上の「高齢者」が増加

搬送者を年齢区分別にみると、2018年は65歳以上の「高齢者」が353万9167人で、全体の約6割を占めていました。

 

高齢者」の割合は、10年前は49.3%と半数を切っていましたが、年々増加し、2010年以降はずっと半数を上回る状態が続いています。

 

年齢区分別 救急搬送者の割合(2018年:596万202人(速報値)/10年前と比べて割合が増えているのは高齢者のみ/高齢者:59.4%、成人:32.5%、乳幼児:4.5%、少年:3.5%、新生児:0.2%

総務省消防庁「消防白書」および「平成30年中の救急出動件数等(速報値)」を基に看護roo!編集部で作成

※新生児:生後28日未満、乳幼児:生後28日以上7歳未満、少年:7歳以上18歳未満、成人:18歳以上65歳未満、高齢者:65歳以上

 

 

入院が必要な「中等症」が増加傾向

搬送者の傷病程度別では、2018年は外来診療で対応可能な「軽症」が290万8667人(48.8%)と一番多く、次いで入院が必要な「中等症」が248万4790人(41.7%)でした。

 

「軽症」の割合は、この10年でやや減少していますが、その一方で、「中等症」の割合は増加傾向にあります。

 

つまり、より症状の重い患者が増えているということです。

 

救急車による救急搬送の傷病程度別割合/(2009年)死亡:70594(1.5%)、重症:462090(9.9%)、中等症:1770093(37.8%)、軽症:2375931(50.7%)、その他:4283(0.1%)/(2010年)死亡:76425(1.5%)、重症:478538(9.6%)、中等症:1911890(38.4%)、	軽症:2507560(50.4%)、その他:4293(0.1%)/(2011年)死亡:78973(1.5%)、重症:484583(9.4%)、中等症:1997674(38.6%)、軽症:2612920(50.5%)、その他:4712(0.1%)/(2012年)死亡:81134(1.5%)、重症:477454(9.1%)、中等症:2042401(38.9%)、軽症:2644751(50.4%)、その他:4562(0.1%)/(2013年)死亡:78161(1.5%)、重症:474175(8.9%)、中等症:2108748(39.5%)、軽症:2667527(50.0%)、その他:11506(0.2%)/(2014年)死亡:77897(1.4%)、重症:472485(8.7%)、中等症:2174746(40.2%)、軽症:2669888(49.4%)、その他:10901(0.2%)/(2015年)死亡:76255(1.4%)、重症:465457(8.5%)、中等症:2220029(40.5%)、軽症:2705974(49.4%)、その他:10655(0.2%)/(2016年)死亡:75979(1.4%)、重症:470157(8.4%)、中等症:2302549(41.0%)、軽症:2769201(49.3%)、その他:3332(0.1%)/(2017年)死亡:77684(1.4%)、重症:482685(8.4%)、中等症:2387407(41.6%)、軽症:2785158(48.6%)、その他:3152(0.1%)/(2018年)死亡:77698(1.3%)、重症:484678(8.1%)、中等症:2484790(41.7%)、軽症:2908667(48.8%)、その他:4369(0.1%)

総務省消防庁「消防白書」および「平成30年中の救急出動件数等(速報値)」を基に看護roo!編集部で作成

※死亡:初診時に死亡が確認されたもの、重症(長期入院):傷病程度が3週間以上の入院加療を必要とするもの、中等症(入院診療):傷病程度が重症または軽症以外のもの、軽症(外来診療):傷病程度が入院加療を必要としないもの、その他:医師の診断がないものや傷病程度が判明しないもの、その他の場所に搬送したもの

 

 

「急病」や「一般負傷」が増え、「交通事故」は減少

搬送された原因別では、2018年は「急病」が389万848人(65.3%)で、最も多い割合でした。

 

次いで多かったのが、「一般負傷」(91万2275人、15.3%)、「交通事故」(44万1571人、7.4%)です。

 

10年前と比べると、「急病」と「一般負傷」が増加する一方で、「交通事故」は減少しています

 

原因別 救急搬送者の割合(2018年596万202人(速報値)/急病:65.3%、一般負傷:15.3%、交通事故:7.4%、その他:12.0%/10年前と比べると、急病:61.1%(2009年)⇒65.3%(2018年)に増加、一般負傷:13.8%(2009年)⇒15.3%(2018年)に増加、交通事故:11.9%(2009年)⇒7.4%(2018年)に減少

総務省消防庁「消防白書」および「平成30年中の救急出動件数等(速報値)」を基に看護roo!編集部で作成

 

 

これらのデータからは、高齢化に伴い、救急医療の現場でも高齢の患者が増え、より症状の重い患者が増えていることがわかります。

 

体感的にそう思っていた人も多いのではないでしょうか。

 

今後、高齢化がより一層進む中、救急医療の現場への過度な負担が心配されます。限りある救急医療の資源を、適切に活用する体制の整備が急がれます。
 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

「平成30年中の救急出動件数等(速報値)」の公表(総務省消防庁)

消防白書(総務省消防庁)

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