超ブラック病院を辞めさせてもらえないときの交渉方法|師長とのイザコザ解決策【8】
こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。
私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。
さて、今日のお悩みは?
師長とのイザコザ解決策【8】
超ブラック病院から退職させてもらえないときの交渉方法
◆ナースのお悩み
看護師3年目です。
新卒から同じ職場でずっと働いてきました。
若手は理不尽に怒られてばかりだし殺伐としていて、いわゆるブラック職場だと思うんです。
でも看護学校を卒業する時「どんなことがあっても3年は頑張る」と決めたから、それを支えに耐えました。
ここまで3年頑張って業務には自信もついたので、辞めることに決めました。
「3年頑張った」という自信もついたので、退職を決意しました。
そこで師長に退職の意向を伝えたのですが、答えは「NO」。
強烈な引き止めにあっています。
ネガティブなことを言うと辞めさせてもらえないから、円満に退職できるように「キャリアアップのためにほかの職場も経験したい」という前向きな理由も伝えました。
それでも、「人手が足りないからダメよ」の一点張りです。
「いつならいいのですか?」という質問にも答えてくれません。
色々調べたので、法律的には退職は可能、ということも知っています。
でも、3年耐えた職場で、最後までわかってもらえないなんてつらすぎます。
こんなにもつらい思いをしているのに、部下の気持ちが伝わらない。
余計に辞めたくなりました。
でも、ここまで頑張ってきたので最後に投げ出したくないんです。
どう話したらいいですか?
◆目次◆
ブラックな職場で退職交渉をするための切り出し方
「一番残念なことは師長が私の気持ちをわかってくれないことです」
退職したい気持ちに向き合ってくれない師長には、このように伝えてみましょう。
あなたが一番つらいのはこういうことですよね。だって、3年間も我慢できたのですから。
退職を考える前に、お互いに本音を打ち明けられるような空気をつくってみませんか?
師長はあなたのそんな気持ちに近づけないくらい、日々の忙しさや、看護管理者としての使命感に頭の中も気持ちも支配されてしまっているのかもしれません。
でも、同じ看護師ですからね。同じ気持ちを新人看護師であった時から体験しているはずです。
その気持を思い出してもらうことができるのは、あなたの言葉です。
解決方法は、師長に本音を伝えること
あくまで冷静に、落ち着いて話してみましょう。本音を話していると伝わるように。
師長も人間ですから、感情が先に立ってしまうこともあります。
殺伐とした空気の中、スタッフを働かせてしまっていたことを負い目に感じているのかもしれません。
退職を認めることで、自分のマネジメントの質の悪さを認めてしまう気持ちになっているのかもしれませんし、そんな中でも踏ん張っていたあなたに、どうしても辞めてほしくないのかもしれません。
一方で、あなたにも「これまで頑張ってきたことを、少しでもいいから師長にわかってほしい」という気持ちがあるのは当然です。
加えて、師長に「スタッフの気持ちが理解できなければ、人材確保にはつながらない」と気づいてもらうことで、職場の本当の問題解決になります。
そして、あなた自身の課題を乗り越えるために、師長に助けてもらえる関係性を築くことにつながります
師長と話すときに見極めたいこと―本当にブラック職場なのか?
さて、この方法で師長とコミュニケーションがとれたら、見極めてほしいことがあります。
それは「本当にブラック職場なのか」「本当にこのまま辞めていいのか」ということです。
お悩み主さんにとっては、殺伐としたブラック職場に思えるかもしれませんが、師長の眼にはまったく違う光景が見えている可能性もあります。
なぜ、師長がそんなに強烈にあなたのことを引き止めているのか、その意図を考えてみましょう。
【パターン1】3年目としての役割に期待している
お悩み主さんのような3年目の看護師は、職場でリーダーシップをとりはじめる時期です。
その後、現場でリーダーシップを上手にとれるようになるかどうかは、この時期の姿勢に影響されます。
そのような時期に、新しい職場に移ってしまっては、リーダーシップを学ぶことよりも職場に慣れることが優先され、3年目ならではの学びが制限されてしまいます。
リーダーシップをとれる看護師が増えることは、師長にとって助かることです。
しかし何より、あなたの看護師としてのキャリアを慮っての行動なのかもしれません。
今回提案したように、師長に「私の気持ちをわかってくれないことがつらい」と自分の本音を伝えて、話し合いの中で師長の意図を聞いてみてください。
とはいえ、「こんな状況の職場を放っておくなんて…」とあなたは感じることでしょう。
次のパターンもみてみましょう。
【パターン2】スタッフの気持ちが離れてしまっていることに気づいていない
師長にとっては、お悩み主さんがどうして職場から気持ちが離れてしまっているのか、気がついていない可能性もあります。
この場合には、今回の働きかけで、師長に気づいてもらうことができます。
もしお悩み主さんが本当に退職する、という決断をしたとしても、3年間お世話になった職場のその後の環境を改善することに貢献できる行動となります。
【パターン3】あなた自身の課題に気づいてほしいと思っている
師長は、あなたに「コミュニケーションの課題に気づいてほしい」と思っています。
あなたは「3年間耐えてきた」という表現を使っていますが、本来、職場の雰囲気は皆で作っていくものです。
看護師は転職情報を探し始めると、職場に対する思いが一気に離れてしまう傾向があります。
「隣の芝生は青く見える」ので、新しいところで働き始めた自分を想像しただけで少し元気になれてしまうからです。
そうすると、現在の職場で継続して働く方法を考えなくなります。
退職を決めるまで、師長に働きかけたり、考えを聞く機会を作ってきましたか?
この課題を乗り越えられなければ、どこに行っても同じ問題が待ち受けています。
師長は、このようにあなたの課題に気づいているのかもしれません。
まとめ
職場の問題解決を師長の仕事と決めつけず、一緒に解決していくために自分ができることを考えたとき、師長とスタッフが共に支える働きやすい職場になります。
そのことに気づいたスタッフの人数が多いほど、その職場は働きやすくなり、看護師の悩みも職場の中で解決できるようになります。
まずは師長と本音で話すことから、はじめてみてください。
(文)
看護の悩み請負人 サト
(イラスト)
香川尚子(ホームページ)
(参考)
労働条件 Q&A (厚生労働省)
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