「いつも忙しそうな師長」に話を聞いてもらうには?|師長とのイザコザ解決策【6】
こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。
私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。
さて、今日のお悩みは?
師長とのイザコザ解決策【6】
「いつも忙しそうで話を聞かない師長」に困ったときの伝え方
◆ナースのお悩み
看護師2年目です。
職場の人間関係で悩んでいます。
仕事が雑で、責任転嫁をする先輩がいます。
私だけじゃなくて、みんなが悩んでいるんです。
その先輩には、いろんな人が注意してきたのに、変わらないので我慢も限界です。
だから師長に相談したいのに、全然話を聞いてくれません…。
話しかけても、いつもせかせか。
「そんな話に付き合っているヒマはない」といった様子です。
「こんなふうに困ってるんです…」と伝えても、自分のやり方や看護観を押しつけてきて、結局相談は聞いてくれないし、ちょっと聞いてくれたとしても、すぐに自分の話にすり替えてきます。
海外帰りで、理想が高いのはわかるけど、口を開けばいつも「これからのナースはね!…」と理想論ばかり。
私たちの困りごとは、全然聞いてくれないんです。
私たちが、こんなに困っているのに、話を聞いてくれないなんてヒドいですよね…?
どう伝えたら、師長に話を聞いてもらえますか?
◆目次◆
忙しそうで話を聞かない師長への伝え方
◆こんな師長にモノ申す!◆
「早急に相談したいことがあります。師長だから聞いてもらいたい内容です。30分程度お時間をください」
「話を聞いてくれない師長」には、このようにモノ申してみましょう。
ポイントは本気度を伝えること。
忙しそうな師長の雰囲気に気圧されてはダメです。
そして、「急いでいる旨」と「相談に要する時間」を簡潔に伝えます。
師長の目を見て真剣な顔で話しましょう。
話を聞いてくれない3つの理由
師長はなぜ、いつも忙しそうで話を聞いてくれないのでしょうか。
3つのパターンが考えられます。
【パターン1】
相談したがっていることには気づいているが、自分の力で乗り越えてほしいと考えている
師長の気持ち:「話は聞いてあげたいけど、私が話を聞くと、きっと頼りたい気持ちになってしまうでしょ。自分の力で乗り越えてほしいわ」
【パターン2】
病棟として優先すべき課題がほかにあると考えている
師長の気持ち:「なんとなく話しかけたそうにしているのはわかっているわ。それに理由もだいだい察しがついている。でも、私には今、それよりも優先すべき課題があるのよ」
【パターン3】
部下が話しかけようとしていることに気づいていない
師長の気持ち「とにかく忙しい。私は自分のめざす看護に向かって進みたいのよ!」
3パターンそれぞれの、師長の意図は?
【パターン1】
相談したがっていることには気づいているが、自分の力で乗り越えてほしいと考えている
この場合の師長は、できるかぎり自分たちで解決してほしいと考えています。
2年目の看護師として、あなたに課題を与え、自分が相談に乗ることは最後の手段としています。
お悩み主さんに、自分で乗り越えられる力があると信じている対応です。
しかし、実際にはお悩み主さんだけでなく、病棟の大多数の看護師が困っている事例とのこと、問題の大きさには気づいていないのかもしれません。
【パターン2】
病棟として優先すべき課題がほかにあると考えている
この場合の師長は、部下の悩みを聞くのは師長の仕事として優先度が低いと考えています。
そもそも、師長の仕事とは「病棟の看護の質を上げる」ことです。
現在の師長が、「これからのナースはね!…」としきりに伝え、話かける隙がないほど忙しくしているのは、病棟の看護の質を上げるために必要だと考えているからなのかもしれません。
師長の話を「悩みとは関係ない理想論」と片付けずに、一度耳を傾けてもよいのかもしれませんね。
もしかすると、悩みを解決するためのヒントを与えてもらえることもあります。
しかし本来は、看護の質を上げるためには、働きやすい職場にするためにコミュニケーションをとることも師長の大切な仕事です。
そのため、いくら優先すべきことがあるのだとしても、話を聞かない態度では片手落ちといえそうです。
【パターン3】
部下が話しかけようとしていることに気づいていない
この場合の師長は、自分が忙しくしていることが“善”と思い込み、忙しさに甘えて部下の話を聞くことに怠慢になっています。
もしくは、ひたすら自分の理想の看護を追いかけているのでしょう。
残念ですが、部下の様子や病棟の状況を把握できていないといえます。
このように、師長の考えや状態には、いくつかの理由が予想できそうです。
とはいえ、困り者の先輩と、相談を聞かない師長が職場にいたら困ってしまいますよね。
どうやって解決すればいいのでしょうか?
きちんとした手続きで、「面談を申し込む」
いつも忙しそうで、話を聞かない師長には、きちんとした方法で「面談を申し込む」ことが必要です。
面談の時間を確保してもらうために、「早急に相談したいことがあります。師長だから聞いてもらいたい内容です。30分程度のお時間をください」と、真剣な顔で伝えてみてください。
この伝え方なら、【パターン1】のように自分で解決してほしいと考えている場合には、「自分たちでは解決できない内容だから、師長にお願いしている」旨を伝えられます。
また、【パターン2】のように優先順位を上げてくれない師長には、「緊急です」「重要です」という状況を伝えることができます。
最後に、【パターン3】のように自分のことしか見えていない場合でも、「スタッフはこんなに困っているので、きちんと話を聞いてください」と話し合いに持ち込むことができます。
師長がいつも忙しそうにして、話を聞いてくれないとき、「私がこんなに悩んでいるのに、どうして味方になってくれないんだろう…」とつらい思いを抱いてしまう気持ちもわかります。
また、お悩み主さんにとって、師長はいつも難しいことを考えていそうで、話しかけづらいかもしれません。
でも、社会人として、目上の人に何かを談判するときには、勇気をもって相応の手続きを踏まなければなりません。
また、本来ならば職場の困りごとを解決しようとするのは、師長にとって有難い姿勢です。
だからこそ、社会人として「これは、あなたが聞く必要のある内容です」と自信をもってハッキリ伝えましょう。
師長の忙しそうな様子に気圧されずに伝えられれば、それだけでもナースとして1つステップアップです。
きっと、「私は話をきちんと聞いてもらえる存在なんだ」という自信につながりますよ。
さらに、長期的には、師長のほうから「この看護師の話を聞きたい」と思わせるようなナース成長すると、自分にとって働きやすい職場にするために、スムーズに働きかけていくことができます。
まずは、きちんとした手続きで、「面談を申し込む」ことから始めてみてくださいね。
(文)
看護の悩み請負人 サト
(イラスト)
香川尚子(ホームページ)
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