異動したいのに3年も待たされるってアリ!?|師長とのイザコザ解決策【5】

こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。

私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。

 

この連載では、スタッフが悩みやすい「師長とのイザコザ」について、私が提示できる解決策をお伝えします。

さて、今日のお悩みは?

 

師長とのイザコザ解決策【5】

「異動したいのにとりあってくれない師長」に困ったときの対処法!

 

◆ナースのお悩み

 

そろそろ、異動したいです。

だって、同じ病棟にもう6年ですよ!

実は、3年前から師長にうったえているのに、全然とりあってくれないんです!

 

いまの神経内科病棟には難病の患者さんが多いので、専門的な勉強もずいぶんしてきたつもりです。

 

でも、私は学生のころから終末期のケアを専門にしたいと思っていました。

緩和ケアの認定看護師資格も取りたいし、そのためにも本格的に緩和ケアを経験したい。

だから、緩和ケア病棟に移りたいんです!

 

この前伝えたときも、「はいはい、何度も言われてわかっているから。今度、部長に話してあげるから、もう少しまってね」って。

 

この言葉、何度聞いたかわかりません。

「いつ話してくれるんですか?」と質問してみてもスルーです。

まるで、師長の鳥カゴの中に囲われているみたいな気持ちになります。

 

いまの病棟に中堅が少なくて新人育成もギリギリなのはわかります。

でも、いつまでこの病棟のために働かなければいけないの?

 

私だってキャリアアップのために、やりがいを感じながら働きたい。

正直、もうモチベーションも上がらないんです。

 

師長になんて言ったらとりあってもらえますか?

 

◆目次◆

 

 

異動したいのにとりあってくれない師長への伝え方

◆こんな師長にモノ申す!◆

「キャリアアップとして異動できるように、私に課題をください」

 

「異動したいのにとりあってくれない師長」には、このように伝えてみましょう。

 

これは、お悩み主さんにとっては「ん?」と思う言い方かもしれません。

でも、師長にはグサっとくる内容です。

 

ポイントは、「師長にタイムリミットを示すこと」です。

 

「いつ話してくれるんですか?」と言っても通用しない師長には、「課題をください」と伝えることで、「異動は課題を乗り越えたとき」というタイムリミットを設定できます。

 

「課題」があることで、異動するまでのお悩み主さんのモチベーションアップにもつながるでしょう。

 

それでは、この言い方が効果的なワケを詳しく解説していきます。

 

 

異動したいのにとりあってくれない3つの理由

まず、師長の気持ちについて考えてみましょう。

ここでは、3つのパターンをみてみます。

 

【パターン1】

「いまの病棟で果たしてほしい役割がある」とうまく伝えられない

師長の気持ち:「この病棟の看護の質を支えている人をまだ移動させることができない。果たしてほしい役割があるのよ。どうしたらわかってもらえるかしら」

 

【パターン2】

希望を叶えたいが組織運営上の障壁がある

師長の気持ち:「これまで頑張ってきたナースのキャリアを支援したい。でも、組織全体の動きや人事があってなかなか調整が難しい。こういう事情を説明するのもねぇ…」

 

【パターン3】

看護師のキャリアは上司が評価して決定すると考えている

師長の気持ち:「このナースは課題が多くて、緩和ケアを専門にするなんてとても無理。自分でわかっていないのだから、先延ばしして諦めるまで待つしかない」

 

 

 

3パターンそれぞれの師長の考え

【パターン1】

「いまの病棟で果たしてほしい役割がある」とうまく伝えられない

 

この場合の前提として、師長には「病棟の看護の質」を向上させる職務があると知っておきましょう。

特に、中堅看護師の配置は「病棟の看護の質」に大きな影響を与えます。

 

師長は自分が「病棟の看護の質」を考慮していること、そのために「あなたに今の病棟で果たしてほしい役割があること」をうまく伝えられていません。

 

「今の病棟で果たしてほしい役割」とはなんでしょうか?

お悩み主さんが「新人育成もギリギリ…」と気づいているように、期待されている役割は「人材育成」です。

人材育成と、適切な配置が「病棟の看護の質」を大きく左右します。

 

師長は、あなたが抜けたあとも「病棟の看護の質」を保つために、後輩の育成が不可欠だと考えています。

 

同時に、あなたが看護師として成熟するために、専門性を高めることよりも、看護全体をみる視点や、人材育成の視点を養うことが大切と認識しているのでしょう。

つまり、師長の視点であなたのキャリアアップについて考えているのです。

 

これらの理由から、いまの病棟にいてほしいと考えていますが、「あなたが異動したら困る」と話せば、「自分(師長)が困るからあなたが我慢をしなさい」と伝わる可能性もあります。

 

3年待たせるのはさすがに長すぎですが…、自分で気づいてほしいと思っているのかもしれません。

 

 

【パターン2】

希望を叶えたいが組織運営上の障壁がある

 

この場合は、お悩み主さんの希望を叶えたいけれど、組織運営上の障壁があるようです。

組織にとって大切にされるはずの中堅看護師の異動希望がなぜ通らないのか、師長自身もジレンマを抱えています。

 

組織運営上の障壁は、管理職以外には理解しがたい情報です。

それをごまかそうとしないで、正直にどのように伝えたらよいかを迷っていることがうかがえます。

 

なかなか、納得できるように説明をするのは難しいものです。

管理職しか知りえない情報や、漏らすことのできない情報があるからです。

 

師長によっては、伝えることができない情報のことよりも、看護師が納得できそうな答えを準備して、丸め込むように納得させてしまう方法を取る場合もあります。

 

この師長がそれをしないのは、看護師の信頼を裏切りたくないという誠実な気持ちがあるからです。

でも、それが逆にそっけなく、不誠実な態度にみえることに気づいていないのかもしれません。

 

 

【パターン3】

看護師のキャリアは上司が評価して決定すると考えている

 

もし、師長に「このナースは課題が多くて、緩和ケアを専門にするなんてできるはずがない」と言われたら、「そんなこと、勝手に決めないで!」と思いますよね。

 

でも、この師長は「看護師のキャリアは上司が評価して決定する」と考えています。

 

キャリア形成については、師長の判断や組織の都合だけでなく、個々の看護師とその上司の相互のやりとりが、重要な意味をもちます。

 

お悩み主さんが、師長に一方的にあしらわれている状況を変えたいと思うのは当然です。

 

では、どうやって解決すればいいのでしょう?

 

 

異動するために乗り越えるべき課題を、師長と一緒に考える 

 

師長がとりあってくれないときは、

「キャリアアップとして異動ができるように、私に課題をください」と伝えてみましょう。

 

ここでいう「キャリアアップ」は、「いまの病棟で役割を果たすことによる成長」と、「その成長が次の病棟で活きる」という2つの意味です。

 

この言い方であれば、【パターン1】のようにもし後輩の育成が必要なのであれば、いまの病棟で取り組むことで、師長を納得させられます。

 

同時に、自分自身のキャリアばかりを考えて、全体的な視点が足りないという印象を変えることができます。

 

本来、人材育成は長い期間をかけて行うことですので、師長と「異動までの課題としてどこをゴールにおくか」を話し合うだけでも、あなたにとって貴重な経験となるでしょう。

 

また、【パターン2】のように、組織運営上の障壁がある場合には、師長がそれを解決するタイムリミットを決めることができます。

 

師長は、「タイムリミットを守れないと、あなたの離職につながってしまうかもしれない」と危機感をもってくれるでしょう。

 

【パターン3】の場合には、師長が感じているあなたの「課題」について知り、それについて話し合うことができます。

 

しかし、このように働きかけても師長が動いてくれる様子がなければ、さらに上位の職にある管理職や、キャリア支援を考えてくれる教育担当者などに相談することも必要です。

 

 

「私に課題をください」と切り出して、師長と話し合う機会を設けることで、「自分がなぜ認定看護師の資格を取得したいのか」や、「自分がほんとうにしたい看護」について、よりいっそう考えが深まることもあるでしょう。

 

また、逆に「いまの病棟でさらに経験を積んだほうがよいな」という気持ちに変化するかもしれません。

 

自分自身のキャリアですから、「使えるものは使う!」という気持ちで、師長と話し合えるよう働きかけてみてください。

 

(文)

看護の悩み請負人 サト

 

(イラスト)

香川尚子(ホームページ)

 

 

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